夏の夜の夢

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 心地良い温度に落ち着いた風が海に面したここ、みなと公園をそっと抜けて行く。  日が沈んだばかりのまだ明るさの残る夕闇を足元から照らす間接照明の中で、この美しい年上の人は少しだけ上にある僕の目を優し気に見上げていた。  僕の方が背が高いのにどういう訳か自分の小ささを感じてしまう。  彼女の目が細められ、くすりともれた笑いのなんと心地良い事か。それがすぐに悪戯っぽく変わり委縮しているな?と眼差しで語る。  僕は心情を顔に素直に出してしまっているのだろうか、今度は柔和な微笑みに変わる。  背伸びしなくていいよ、かっこつけなくていいよ、素のままで良いよと、そう語っているようにも思えた。  思わず笑みがこぼれると、彼女の微笑みはより一層可憐に柔らかになり、珊瑚の唇から真珠の歯が覗いた。  感じた事もない程胸が高鳴る。顔が上気する。目の前の相手が愛おしくて眩暈さえ覚える。この狂おしさをなんと言葉に出来ようか。いや、することは出来ない、必要もない。だってきっと相手に伝わっているから。
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