姉として

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 だからあたしは渉にあたしを幻滅させたいし、機会があれば素敵な女の子にめぐりあって欲しい。  今日のデート相手は向こうからの告白だったそうだ。弟の事を愛してくれる良い子なら応援したい。期待を込めているのは本人よりあたしかもしれない。  だから……  ああ、本当に自己嫌悪。  弟の待ち合わせ現場に張り込んでしまうなんて。  どんな可愛らしい子なのか見たかったのはある、どんな声で話しどんな風に弟を見つめるのかとか、弟は相手にどんな笑顔を向けるのかとか……  もしあたしの好みでない子が現れたらあたしはどうするんだろう。  あたしがどうこう思っても、渉の気持ちが大切なのになぜかもやもやと落ち着かない気持ちでいっぱいになった。  あたしは何を期待しているんだろう、何を怯えているんだろう。  渉は海沿いにあるみなと公園のベンチに腰掛け、時計も見ずに彫像の様に待っている。その背中に表情が無くて弟らしくなかった。  うっとおしいナンパを何度も断りながらあたしは弟と共に彼の恋人の登場を待ち続けた。
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