え、なに⁉︎

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え、なに⁉︎

「南田くんってさ、彼氏いる?」 「……? え、なに!?」 新商品のサンプル確認をしていた優斗は、思いもよらない質問を同じ職場の男性上司、長野チーフにされ、そのチーフ向かってタメ口で返してしまった。 「南田くんって彼氏いる?」 優斗がタメ口で話した事も、自分が変な質問をしてるのかも気にしている様子もなく、長野はもう一度同じ質問をした。 「……いません……けど……」 全く質問されている意味がわからないまま優斗は、ありのままを伝えた。 「ならいいんだ………じゃ、お疲れ」 それだけ言い残し帰っていく………。 え? え? え? なに? なに? なに? え!? 意味わかんないよ!! 優斗は聞かれたことをなんとか理解しようと、頭をフル回転させるが、言われた意味が全くわからない。 考えれば考えるほど分からなくて、考えれば考えるほど優斗の可愛い顔が困り顔になり眉間にシワが寄る。 「南田くん、眉間にもの凄くシワよってるけど大丈夫?」 顎に手を当てながら考え続けている優斗の顔を、それは美しい女性が覗き込んだ。 「‼︎山下マネージャー‼︎お疲れ様です!」 美女と目があった優斗は、驚いてもう少しでサンプルを落としそうになった。 美しすぎるマネージャーに見つめられるのに、まだ一向に慣れない。 優斗が学校を卒業して、ここ有名百貨店の男性BA… そう、男性美容部員として働き出して2年が経とうとしていた。 「今日、私休みの日だから下の名前でいいよ」 「だって…それは…」 いくら仕事の時以外名前で呼んでいいと言われても… 照れます…。 「いつまで照れてるのよ。そろそろ慣れないと」 優斗に向かって山下が微笑む。 『仕事の時以外は皆んなと仲良くしたいから、下の名前で呼んで欲しい』 それが、山下なりのスタッフと親睦を深める方法だそうだ。 「お疲れ様です…。ひよりさん」 自分で言っておきながら優斗は頬を赤くして照れた。 「それで、どうしてそんなに眉間にシワが寄っていたの?」 「それが長野チーフに変な質問されて…」 「仕事のこと?」 「いえ、仕事でなくて……」 さすがにこれは誰にも言えない質問だったなー。 「そっか。あんまりしつこく聞かれるようだったら私に言ってね。私もそれとなく注意して見ておくから」 「ありがとうございます!」 優斗が安心して仕事が出来るようにと、ひよりが気を使ってくれているのが優斗は嬉しかった。 「それでひよりさんは今日、何かの用事で来られたんですか?」 「そうなの。今日は主人のお義母さんの誕生日プレゼント選びに家族で来てて。それで店の近くを通ったら、南田くんが物凄い形相になってたから、なにかトラブったのかと…」 トラブルに巻き込まれたというか… 思いもよらない事が起こったというか… 「ご心配をおかけて、すみません。でも全然大丈夫です‼︎」 元気よく優斗が笑うと、ひよりの側に小さな美少女が駆け寄ってきた。 「ママ、パパがね、翔と先に行ってるけど気にせずゆっくりしておいでって」 あー眩しい…… この美しさでできていそうな親子。 旦那様も優しくて驚くほどイケメン。 眩しすぎる、この家族。 どうやったら、こんな眩しすぎる家族になるんだろう…… うっとりして、ひより親子を優斗が見ていると、 「お仕事頑張ってね。優斗お兄ちゃん」 美少女が微笑む。 ‼︎‼︎ ありがとう神様。 この笑顔で俺、仕事頑張れそうです! 「ありがとう。元気がでたよ。遥ちゃんもお出かけ楽しんでね」 「はーい」 遥は優斗に手を振りながら、ひよりと父親のところへ向かった。 癒しのひと時、 心が浄化されていく… 優斗の顔は晴れやかになっていった。
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