あの夏の重い出

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あれは本当にあったことなのだろうか。今でも思い出す、けれども未だに分からない、あの夏の日。 あの日は夏だったから、陽が沈んでも蒸し暑かった。ロータリー横のその映画館は当時大きく豪華な箱で、上映中に上の階にあるボウリング場のバックヤードの音が漏れてくるのが玉に瑕だけど、週末のレイトショウは多くの客で賑わっていた。 さて、今晩は何処で晩飯を喰おうか。そんなことを考えながら、終映後の劇場を出た。すると、そこにフワフワした白いミニのワンピースの、その盛り場には似つかわしくないお嬢がいたんだ。 お嬢はキッパリとした口調で俺にこう言ったね。「すいません、友達と待ち合わせているのですが、この辺にボウリング場はありませんか?」は?へ、このビルの上にありますけど。そう答えると、お嬢はありがとうございますと微笑み、そのまま真っ直ぐ前を向いたまま、すっくと立ち続けていた。 ただそれだけ。あれは何か?やっぱりそういうことなのか?あるいはオトボケちゃんなのか?それとも何かもっとヤバい話だったのか?いやー俺もヘタレでさー、そこでもう一歩はいけなかったさぁ。しかし、可愛かったにゃあ・・・・・ 今じゃあの映画館も無くなった。そんなしょうもない話で、ほぼ実話。しかし俺って小せぇー。
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