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ブールーシートのホームレス
DV彼氏の家まで行った後、自宅にそこそこ近くの、公園まで帰って来た。
少し大きめの公園で、ブルーシートのホームレスの家が何張りかある。
雲間の月を見ながら、ブランコを漕いでいた。
なんの感情も湧かなかった。
日が落ちて、段々と風が冷たくなり、傷を触る風が心地よい、そんな感じだ。
『そうだ、傷冷やさないと』なんでコンビニで氷買ってこなかったんだろ、すっかり忘れていた。
「お嬢ちゃん、夜は冷えるよ、早めにおうち帰りな」
突然現れたホームレスに正直ギョッとした。
ハッと顔を上げると、今度はギョッとするのはホームレスの番だった。
私の顔を一瞥するとホームレスは逃げ出した。
顔の傷は相当ひどくなっていたのだろう。鏡で確認するまでもない、ホームレスが逃げ出すなんてどんなだよ。しかしあのホームレス動きが機敏だったな、ぼさぼさの髪でほとんど顔が見えなかったけど、結構若いのかもしれない。
今度は息を切らして先ほどのホームレスが走って戻って来た。
やせぎすで身長が高かった。独特な軽快な動きからやっぱり若さを感じる。
若いホームレスは、慣れた手つきでコンビニ袋からカクテル用の氷を取り出し、小さいビニール袋にペットボトルの水と一緒に入れた。
そうして簡易的な氷嚢を作り私の血のにじんだ目に当ててくれた。
慈愛を感じた。
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