空飛ぶ灰皿

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空飛ぶ灰皿

 母の【毒親】っぷりは、常軌を逸していた。  マジ基地外だった。    私は、クズ母に搾取されるのがわかっているのに、コンビニバイトに、いそしんでいた。  その日も普通にバイトに出かけた。  そして、いつものように疲れて帰ってきた。  そしたら、重いガラスの灰皿が飛んできた。  顔面めがけて!  『当たったら死ぬな…』  私は当然、よけた。  灰皿はシンクの角に当たって粉々に砕けた。  『殺意あるよね?』  「何で、よけんだよ!」  クズ母が金切り声をあげている。    バイトで疲れていたせいか、現実感が無い。  『お母さんは、私の顔面に灰皿をヒットさせるのがお望み?』  『これって、親のすることなんだろうか?』     ぼーっとしていると、クズ母の声が遠くに聞こえる。  「何でサイフ置いてかねーんだよ」  「金がねーと、酒もクスリも買えねーじゃねーか」  「おまえ、なんのために働いているんだよ」  『自分の学費のためですが、なにか?』って心でつぶやく。    どうやら、表情に出たらしい。    クズ母の雰囲気が変わった。  「今から体売ってクスリ代稼いでこい!」  クズ母の体はいたって健康、この場合病気を治すクスリなんかじゃ無い!  覚せい剤かなにかだ。  おつむを壊すクスリだ。    クズ母はこういう時だけは機敏だ。  すぐさま電話して私に性欲を吐き出す(クズ)を見つけたらしい。    「この電話番号にかけて、ウリしてきて」  「あ、ホテル代も交通費も相手持ちだからサイフは置いてってね」    『金が入る算段がつくと、お母さんはやさしくなる…』  多分、それがクズのたくらみだとしても、 優しいお母さんには逆らえない。  完全にわたしを支配しようとする母は、  本当のクズだった。  
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