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ルーチンワーク
セックス。それは私にとっては単なるルーチンワーク。
いつものように、同じことを繰り返すだけ。
先ずはペロペロ。
これをしないと、男は満足しないらしい。
セックスの後で要求されると、自分の愛液と精子が混ざった味に耐えきれなくなるから、最初に済ますようにしている。
とにかく口を使っての作業に集中する、世の中にはコレをするだけで濡れる女性がいると男どもは言うが、嘘に決まっている。
「アリサちゃん、顔をみせて」と、男が言う。
この時初めて、ちゃんと男の顔を見た。
30才ぐらいだろうか?
『おじさんだ』
でも、必ず『お兄さん』と呼ぶように、
母には言いつけられている。
「お兄さんは、奥さんとか子供とかいるの?」
別にそんなこと知りたい訳じゃない。
ただ、男が罪悪感を抱くかどうか、知りたいだけ。
男は適当にはぐらかして、私の中に入ってきた。
感じない、何も。
ただ、男が果てるのをじっと待っていた。
ただ、この時間は優しい気持ちになれる。
相手がどんなにクズ男でも、私を優しく扱ってくれる。
それだけでも、毒親と過ごす時間よりましだ。
男が果てた後、私は少し笑顔になった。
「お兄さん、ありがと。」
クズ男は私をそっと抱き寄せた。
ちょっと、温かくなった。
同じクズでも男の方がましだと思う私は、
変わっているのだろうか?
ラブホの外に出て、
都会特有の生暖かい夜風に当たった。
季節はもうすぐ夏になる春。
すこし気分が悪くなった。
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