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女子高生も眠る丑三つ時
もう、時刻は午前2時を回っていた。
『眠い』
『眠い』
『眠い』
『眠い』
『眠い』
「眠い…」私はつい口に、出してしまった。
「アリサ!」クズ母が怒鳴る。
鬼の形相でこっちを睨んでいた。
タクシーの中。
運転手もギョッとして、
ルームミラーで後席を確認する。
「もっと、真剣におなり」
「お母さん、でも今日はもう疲れたよ…」
母はなだめるように、私の黒髪を指ですいた。
「アリサ」
「うまくいけば、2、3年苦労せずに暮らせるんだから」
私は、何かを訴えたかった。よからぬことがこれから起きそうな予感もして考えを巡らそうとした。考えようとすればするほど眠気は強くなった。
タクシーは神楽坂に着いた。
私はてっきり、新宿とか繁華街系に行くんだと思っていた。
ついたのは料亭街だ。
運転手に金を渡す母は、怒鳴った引け目からか、未成年を連れまわす不審客とタクシー会社に報告されるのを恐れてか、おつりを受け取らなかった。
『それ、私のお金、もっと大事に使ってよ』
ぼんやりとした私の脳はそんなことを考えていた。
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