1章-3 初めての…

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 ベッドルームは、初めてのヒートにもがく蒼と、強力な抑制剤でようやく理性を保っている東郷の2人になった。  東郷自身、即効性の強力な抑制剤を打つのは初めてではなかった。  使う事態になっても、ここまで理性を奪われそうになることは初めての経験だ。  ホワイトタイを解き、襟付きの白いベストはそのままにウイングカラーシャツのボタンを3つ外す。  ベッドの上に横向きで寝転がり、身悶えていた蒼は、東郷が近付いてくることに怯えて後退る。 「イヤッ…来ないで…」  首を振って嫌がるも、抵抗することができない。  東郷はベッドに片膝をつくと、蒼のボトムに手を掛けた。  タキシードと共布で作られたサイドラインが1本入ったパンツと、下着をいっぺんに奪い取ると、ベッドの足元へ放り投げる。  東郷の前に露にされた蒼の中心は、小さくそそり立ち、先端から漏れる透明な液体で濡れる。 「あっ……あっ……」  パニックになった蒼は声を出すことも呼吸することもできず、首を振りながら目から涙をこぼす。  そんな蒼の背中を東郷は強く抱きしめ、 「大丈夫だ。ゆっくり息を吐け」  と、耳元に優しく話しかける。呼吸を整えるように一緒にゆっくりと深呼吸を繰り返す。  蒼の呼吸が落ち着いてくると、東郷は蒼の中心で控えめにそそり立つモノを自分の手の中に包んだ。  Ω男性のモノは平均的に小さい。男として機能しないわけではないが、本来の使い方に向いていない場合が多い。あまりにも小さいと生殖能力がないこともあるが、性感帯としての働きくらいはある。  蒼自身、小さいことを気にはしていたが、性欲に薄く成長が遅いだけであって、まさかΩだからだったとは思いもしなかった。  東郷の手は大きい。  だがそれを勘案しても、手の中にすっぽりと納まってしまうソレは、小さい。 「ふふっ…かわいいな」  失礼だとはわかっていても、東郷は蒼のサイズに笑みを漏らし、小さくても硬くなっているモノを優しく(しご)き上げる。 「……っ!」  蒼は恥ずかしさと悔しさで、目に涙を溜め、下唇を噛む。その顔を東郷に見られ、目と目が合う。  吸い寄せられる視線。  高鳴る鼓動。  こみ上げる熱…。  抑制剤で抑えようとしているのをあざ笑うかのように、2人の中を荒れ狂う劣情。  東郷はたまらず、下唇を噛みしめる蒼の口に吸い付く。  と同時に、東郷の掌に白濁の液体が広がる。 「んー!!」  体をのけ反らせて叫ぼうにも、口を塞がれていては声も出ない。  あまりの苦しさに、蒼は口を大きく開けて息を吸い込んだ。一瞬東郷の口が離れる。その隙に呼吸をしたが、今度は口の中を東郷の舌に攻められ息が苦しい。 「鼻で呼吸をしろ」  東郷はそれだけ言うと、蒼の口から自分の口を離さない。  蒼が白濁を出し切っても、東郷の手は蒼のモノを解放せず、再び硬さを増すまで、硬さを増しても、優しく扱き上げる。  部屋の中には、2人のフーッ、フーッ、フーッという荒い息遣い、白濁まみれのモノをクチュクチュと容赦なく甚振(いたぶ)り続ける水音、蒼がもがく衣擦れの音が静かに流れる。  時折、隣の部屋で貴良に抱き止められているのであろう乃亜の、蒼を呼ぶ泣き声が聞こえるが、蒼の耳には届かない。  あっけなく2回目の放出に体の力まで抜かれてしまう。  それでも東郷は蒼を離そうとはしない。それどころか、うつ伏せにした蒼の腰を持ち上げると、人差し指と中指を双丘の割れ目に沿わせ、粘液の湧く孔に滑り込ませる。  長い指の関節のゴツゴツした感触が、内壁をこすり上げていく。 「んあーーー!!!!」  蒼の絶叫が部屋の中に響く。  自分に何が起こったのか理解できないまま、ただただ強烈な快楽に溺れていく自分が怖い。快楽をもたらす東郷一馬が怖い。  孔からあふれる粘液が、太腿の内側を伝って流れ落ちる。  直腸の奥に子宮を持つΩでなければ、起こりえない状況。 ――性別不明だと?!しっかりΩじゃないか。  身内のαにこだわっていては、グループの発展はない。  表向き『運命の番探し』のパーティで若者を集め、東郷グループの幹部候補生として、東郷一馬にとって使えそうな人材をピックアップし、学業をサポートして幹部としての素養を早くから身に付けさせようと、学生のプロフィールは頭に入れてあった。  その筆頭として目を付けていたのが、ソフィア学園の生徒会長、緑川蒼。  緑川財閥の次男で、後継ぎではない身。  努力家で人当たりのいい彼は、αもβもΩも関係なく人を束ねるのにいい人材かもしれない…。  性別は不明。  そんなのは、関係ない。  なのに、まさかここで突然発情期を迎えさせてしまうとは。  目を付けていた若者が、まさかの運命の番であることに、東郷は困惑していた。  直腸の奥の子宮につながる道を、指でズブズブと(むさぼ)りながら、再び猛る小さな突起を、空いている手の中に納め、同時に扱く。  前も後ろも大きな手に刺激され、蒼はシーツを握って絶叫する。 「…アアッ!…ヤッ、…ヤッ!……ヤメッ…アアアッ!!」  嫌だと言いたいのに、言葉にならない。  そして、嫌なのに、いい。止めて欲しいのに、もっと欲しい…。  部屋には、ローマンカモミールに似た甘い香りが充満する。  りんごにも似た可憐な甘い香りに、クラクラする。 ――抱きつぶして、項を咬んで、番にしてしまいたい…。 「…ッ!」  即効性の強力なラット抑制剤を打ったというのに、理性が飛びそうになる自分に舌打ちをする。 ――これが運命?!  たまらず、細い首筋に吸い寄せられていく。  香りを吸い込み、口づけをすると、細い肩がビクッっと震える。  それが合図だったかのように、その小さな突起の頂きから3回目の白濁を(ほとばし)らせ、絶頂を迎えた。 ――危ない…何もわかっていない子どもを咬むところだった……。  自分が今、蒼の項を咬みそうになったことに、冷や汗が噴き出す。 「ハァ…ッ、ハァ…ッ、ハァ…ッ…」  大きく肩で呼吸を整えながら、辛うじて繋ぎとめた理性を呼び戻す。  硬さを失った突起から手を離し、孔からゆっくりを指を引き抜くと、「ンァッ…」と小さな呻きがもれただけで、蒼の反応はない。  体の熱を放出し、抑制剤も効いてきたのか、蒼は気を失った。    東郷は、その香りをあまり吸込まないように気を付けながら、白濁まみれになった蒼を優しく拭き取り、アッパーシーツを体に掛け、バスルームに向かった。    手を洗い、身支度を整えてリビングに行くと、泣きはらして貴良に背中をさすられている乃亜がいた。  乃亜は「アオは?!」と言おうとしたが言葉が出ない。 「あの場がパニックにならずに済んだのは乃亜君のおかげだよ。ありがとう」  そういう東郷の脇を、乃亜は通り過ぎ、ベッドに駆け寄る。 「気を失っているけれども、大丈夫だ。今夜、私は別の部屋を取るから、君もここに泊まっていくといい。貴良、家に連絡してやってくれ」  それだけ言うと、東郷一馬はホテルの最上階のスイートルームを出た。
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