1章-7 ぶつかる

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 悔しさで涙が出る。  うつ伏せになり、肩を震わせて泣く。  泣くまい、声を出すまいと堪えようとしても、嗚咽が漏れる。 「…なかなか、強情だな。俺はこれをどうやって鎮めたらいい?やめるならヌイてくるし、やめないなら入れてやるが」 ――?  蒼は顔を上げて一馬を見る。  一馬はいつの間にか全裸になり、ベッドの上に胡坐をかいて座っていた。  その胡坐の中心に、見たこともないサイズのモノがそそり立っている。 ――え?それ何?  蒼は一瞬、状況がわからなくなる。自分のモノとはサイズが違い過ぎて、同じモノとは理解できない…。 ――え?ちょ…。え?!αってこんなにデカい?!  ビックリして、後退りするも、視線を反らすことができない。  根元に発情したαの特徴でもあるノットと呼ばれる瘤が膨らんでいないので、行為の最中にまだまだ大きくなる可能性はある…。 「いやっ…そんなの入るわけ…」  怯えながらブンブン首を振る。 ――無理無理無理無理…!お尻裂けちゃう!! 「…入るか入らないか…試してみるか?」  蒼が明らかに自分のモノの大きさに怯えているのに気付いた一馬は、可笑しくて笑いを堪えた。  さっきまで、一馬を睨んで抵抗していた聡明な少年はどこへ行ったのか…? 「雄のデカさはαの強さに比例する。私クラスのαなら当然だろ」  じりじりと後退りする蒼に、にじり寄る。 「発情期に入った時にいきなりラット状態の私に突っ込まれるよりも、理性があるうちにゆっくり慣らしておいた方がいいかもしれないな」  蒼は逃げ場所がもう後ろになくなり、一馬の顔とモノを交互に見ながら困惑する。    一馬はオドオドする蒼を抱き寄せて、胡坐をかいた膝の上に跨るように座らせた。  そして、互いのモノをぴったりと寄せ合うと、一緒に握って扱き上げる。 「あ…えっ…?あっ……」  蒼はさらに困惑する。 「上も脱げ」  一馬が言う。脱がしたくても、扱き上げるのと、蒼の腰を支えのとで手が塞がっている。  蒼は言われるがままにパジャマの上と肌着を脱ぎ捨てた。  真っ裸で向かい合って…これは一体どういう状況なんだ?!と、体の中心と一馬の顔を交互に見る。 「気持ちいいか?俺もう…」  一馬の呼吸が荒くなってくる。  興奮しているのが伝わると、蒼は思わず腰を振って押し付け始める。  間近で見つめ合う2人。  瞳をそっと閉じると、互いの唇を重ね、わずかに開けた口から舌をそっと絡め合う。  互いの口を吸い合う水音と、扱く互いの竿からあふれる蜜の水音が重なり合って、静かな部屋の中に響く。    互いの体温が上昇してくるのが伝わる。フェロモンが溶けた湯気のように、2人の体をまとわりつく。  呼吸が苦しくて口を離し、「ハァ…ハァ…ハァ…」と荒い呼吸を繰り返す。 「…き…、気持ち…イイ……。コレ…欲しい…」  扱いている一馬の手に自分の手を重ね、完全に惚けてしまった顔で、蒼が言うと、 「…ンッ…イクッ……」  先に蒼のモノが果てた。  その蒼の表情に、一馬は相手が高校生だということも忘れて興奮を覚えた。 「あ…ヤバッ…」  遅れて一馬の頂からは、蒼のとは比べ物にならない大量の白濁が噴き出す。  一馬が側にあったタオルを引き寄せて拭こうとする。 「アッ…欲しっ…」  と、蒼が引き寄せられるように一馬のモノをしゃぶって舐め取ろうとした。 「コラコラ…ダ~メ」  一馬が慌てて止めに入ると、蒼の顔は完全に(ほう)けている。 「欲しい…一馬さんの、欲しい…」  一馬のフェロモンに完全に当てられている。 「ああ、()れてやる…」  そう言って、自分の出したものを一旦きれいに拭き取ると、蒼に口付けをして、うつ伏せに寝かせた。 「きついから、ほぐすぞ」  腰を引き寄せ、双丘の割れ目を押し広げると人差し指を()し入れ、入り口をゆっくりとほぐし始める。 「んんっ…早く欲しい…」  枕に顔を擦り付けて、体をモジモジと揺する。 「ああ、慌てるな」  中指を増やし、ほぐしながら抜き挿しを繰り返す。  前はあえて触らずに自由にさせておいた。  透明な蜜を先端から垂らしながら、震えている。 「好きだな、ここ」  コリコリする前壁をゆっくりと掻いてやると、 「うぅうん…、気持ちいい…」  蒼の体がとろける。 「痛くても、入れてしまったら止められないけどいいか?」 「痛くても、いい…」  指を抜くと、体勢を立て直して蒼の腰をグイっと引き寄せ、一馬のはち切れそうに猛ったモノを、蒼の孔にあてがう。  期待なのか、恐怖なのか…蒼の体はプルプルと小刻みに震えていた。 「ゆっくり息を吐いて、力を抜くんだ」 「うん…」  蒼が大きく息を吸ったのを確認し、息を吐き出したと同時に中へとゆっくり入って行く。 「ううん…」  蒼が小さく呻いた。  まだ入り口までなら余裕がありそうだ。  そのまま、蒼の好きなポイントを一馬の先端で刺激してやると 「アッ…アッ…アッ…」  と、一馬の揺れに合わせて喘ぎながら、前から蜜を滴らせる。 「もっと奥に行くぞ」 「…うん」  ゆっくり慎重に進んでいく。  初めてαを受け入れた未開の地は、締まっていてきつい。 「ンンッ…ンンッ…」  枕に顔を押し当てて、声を殺していたが、 「もうダメ!痛い!!」  と、訴える。  だが、一馬は 「入れてしまったら止められないと言っただろう?」  と言って、なおもグイグイと侵入してくる。 「ンアッ!イヤッ!!イタッ!!アッ…!一馬さん…ごめんなさい!ヤッ…!」  ぐっ…ぐっ…ぐっ…と突かれる度に声を上げる。  一馬もなるべく痛くないように…とは思っているが、初めての体に超特大αはどうしてもきつい。  ようやく全部入ってしまうと、馴染ませるようにグイングインと腰をグラインドさせる。 「それ…、それ、イヤーーー!!!!」  蒼が枕を握りしめて絶叫した。 「馴れろ」  一馬はそう言い聞かせて蒼の背中を抱きしめ、中を押し広げるように動きを繰り返す。  蒼が発情期に入れば、間違いなく自分は蒼のフェロモンに当てられてラットと呼ばれる発情状態になる。  今より竿は大きく猛り、ノットという発情中のα男性にしかできない瘤が、孔の出入り口を塞いで抜けないようにし、理性を失って暴れ狂う。  ひとたび精を放てば、20~30分は抜けずに放出し続ける。  そうなることで、Ωの発情期間にラット状態のαと交われば確実に妊娠すると言われている。  理性があるうちに、少しでも体を慣らしておかないと、抱き潰してしまう…。  だから、初めての発情期を貴良に預けて、離れていたのだ。  もう少し経験のある大人のΩであれば、そのまま番になれたものを…、という思いはなくもない。  何も好き好んで、発情している蒼を放っておいたわけではない。  抽挿とグラインドを交互に繰り返すと、叫び続けていた蒼の体がおとなしくなってくる。 ――慣れてきたか?  と、一馬は体を起こして、蒼の様子を伺った。  強く握りしめた枕に顔をうずめ、荒い呼吸を繰り返している。  グイ…、グイ…と奥をさらに突く。未だ勢いが衰える気配のない先端にプニプニとした感触と、吸い付く感じある。 「子宮の入り口だな」  一馬がボソッと言うと、蒼が顔を横に向けた。  顔が涙で濡れている。 「うぅっ…吸い取られそうだ」  プニプニと感じるものを突きながら、そろそろイキそうになる。 「アンッ…アッ…ボッ…僕の中にあるんですね…。僕…Ωなんですね…ンンッ!アッ!…そこっ!おかしくなるっ!!」  さっきまで痛がっていたのに慣れてきたのか、子宮の入り口も感じるのか、蒼の興奮も最高潮に達している。 「ああ…。俺のΩだ。俺のためにもっと()け…」  横を向いたまま喘ぎ声を漏らす蒼の唇を啄むように、一馬は口付けをした。  発情期中ではないから、一馬もラットにはならない。そのためノットも膨らむことなく、いつの間にか装着した薄い被膜の中に熱を放出した。 ――運命の番って……凄いな。  一馬は童貞ではない。それなりに大人の経験はしているものの、こんなにも興奮することはなかった。  男のΩだからか?高校生だからか?いやいや、今までそんな趣味はなかったぞ…。  この興奮は自分の性癖のせいなのか?と一瞬考えたが、違う、と否定する。  蒼の背中を抱きしめたまま、精を吐き出しながら、呼吸を整える。  そっと蒼の中から出ると、発情期中でもないのに被膜の中に吐き出した大量の白濁に、我ながら一馬はビックリしてしまう。 「蒼…、大丈夫か?」  うつ伏せのままぐったりしている運命の番に、声を掛ける。 「……」  気を失っているのか、反応がない。  どこから出てきた何の液体なのか…ぐちゃぐちゃのドロドロになった体を、きれいに洗い流してやろうと、一馬はベッドを出てバスルームへお湯を張りに行く。  だが、部屋に戻って来ると、蒼が起き上がって、何やら箱を見つめていた…。 「『α用超特大サイズ』…って、ネーミングがどストレートですね…。どこに売っているんですか、こんなの…」  起きた途端にコンドームの箱をしげしげと見ているなんて…と、呆れたが、気が付いてホッとする。 「バース関連用品の通販サイトにあるんだよ。Ω男性やα女性用の極小サイズもあるぞ」  一馬の説明に「…。僕は必要ないですけどね」と言い、箱をサイドテーブルに戻す。 「立てるか?風呂入ろう」  と、一馬が誘うと、蒼は「このまま寝たい…」と言いながら首を横に振った。 「運んでやる」  と、蒼の体に一馬の大きなバスローブを掛け、抱きかかえた。 「お湯が染みそう!お尻…」  蒼が顔を真っ赤にする。 「洗って、薬付けてやる」 「薬?」 「ん。痔の軟膏も用意してある」  このαは、初めからこうなることをわかっていて準備していたのか?!と思うと、抱きかかえられながら急に腹立たしくなってきて、ムッとする。 「おっ!また私を睨むのか?もう2ラウンド3ラウンドいけるぞ」  どうやら、反抗的な態度をとると興奮させてしまうらしい…と思った蒼は、おとなしくされるがままになることにした。 「蒼をどうしてやるのがいいのか…わからない。これから先、怒らせることも、悲しませることもたくさんある。喜ばせたり、幸せにすることの方が少ないかもしれない。だけど今は、私の側に居てくれないか?」  バスルームできれいさっぱり洗い流し、2人で一馬のベッドに横になった。  一馬は蒼の髪を梳きながら、優しく話しかける。  無理に抱いておきながら、事後は優しくするなんて、DV夫みたいじゃないか、と自分で自分に突っ込みを入れたくなったが、男子高校生相手に翻弄されている自分が情けなくなってくる。  蒼は一馬の言葉に頷いたのか、ただ単に寝落ちしただけなのか…すぐに目を閉じて何も反応しなくなった。  一馬は蒼の体を抱き寄せ、優しく頬擦りした。 ――これが愛しいという気持ちなのか?…これが恋なのか?
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