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第六章 流出 第三十四話 誘拐事件勃発デス
数日後、村長のところに村人が集まりました。
それは私を探しに隣村のごろつきが来て、女の子たちが間一髪、連れ去られそうになったのを助けたのです。
栗色の天然パーマの女子、それだけです、それだけで誘拐されそうになったのです。
「なんてことだ、あんな奴、村長の資格もねえ!」
そうだそうだ。
「親も親なら、子も子だし、その孫までもじゃ、あの一族はこの先はないよ」
「村長、どうにかできないもんか?」
「このままじゃ、この村にまで災いが降りかかる」
「あの橋を渡るたび、こっちから行っただけで、金をとられるあの橋は俺らのじいちゃんたちがかけた橋だ、なんであいつらに金を出さなきゃいけないんだ」
「そのカミーラって親子が、食い止めてるなら、ちゃんとこの村の住人にしてやれないのか!」
村長!
村長!
「わかーった、落ち着け、カミーラのことは何とかする、それにこのままじゃ子供たちがまたどんなことをされるか、チャームは生きてはおるが瀕死の状態だ、セリアに頼まれて、死んだことにしてあったのに、それが漏れた。それを知らないと言い切ってるやつらだ、うちの村の裁判ではあいつらは有罪だ、でもとなり村じゃ俺らが悪者だ、らちが明かないから、王様にその判断を仰ぐ、そこでなんだがなー」
「村長そこからは私が」
「あー、頼めるかフェルーマ」
彼は裁判官で、村の知恵者、賢者です。
村人たちをなだめます。
今は子供たちを守ること、そして。
「いいですか?大事なことはグルーナに聞かれないようにしてください」
言葉巧みにいえば簡単に聞き出せる、彼らには何の悪気もないのだと彼は言ったそうです。
そんなことが起きていることもつゆ知らず。
「あーん、ムー、おいしー」
「そうか、そりゃよかった」
「俺も手伝ったぞ」
「うん、おいしいよ」
骨からとる出汁の作り方を伝授。
彼らが作ったのは豚骨スープのようで、昆布があるというので作ってもらったんです。
ニョッキによく合います。
「こんなのまずいと思ったけど、骨ってすごいんだな」
「すごいよー、後は魚だけなんだよなー」
「魚?取ってこようか?」
いいの、海にいる魚なの。
海か―、行ってみたいな。
いつか行けるよ、行けるようになったら、みんなで行こう。
「そうだな、ちゃんと食って直さないとな、ほら、もういいか?」
「もうちょっと、あーん」
「兄ちゃん鳥の親みてー」
ハハハ、そうだな。
チリリン。
「お客だ」
「よく聞こえる、あれがついてからどこにいても行けるから助かるぜ」
「よかった、ねえ、スープも頂戴」
「おう、ほらよ」
なんて言いながら口に入れてもらってます。
動くにはまだまだ時間がいるようです。
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