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第二話 前世は五十五歳の婆(ババア)です
転生とは字のごとく、生まれ変わり。
そして次の世界、違う世界、異世界、ファンタジーかよ、そんなところってどんなところかもわからないところに飛ばされて、そいでもって‥‥
おなかすいたなー。
生理現象、これだけは押さえきれない欲望、欲求は抑えることはできないのです。
ちょっと泣いてみよう…
「ふぎゃ、ふぎゃ――」
言葉にもなんないってことは生まれ変わりでいいんだよな?
ふっ、と背中に何かが入り込んで、体が弓のようにしなった。
「ちゃんと出るかしら」
誰?
ごそごそという音、目はかすんで見えやしない。
「はいどうぞー」
何かが口のそばにある、くん、匂いはミルク?ハグッ!んっぱ、ンパ、うめーぞ、これ美味。
「こらこら、取らないから落ち着いて」
だって、お腹がすいて、んー、おいしいよー!
「どれどれ、いっぱい飲んで大きくなれ」
ン?また知らない声だ。顔に指が当たる、大きな指。邪魔しないでよー、おいしいんだからさー。邪魔とばかりに指をつかんだ。
「くすぐったい、お腹すいてたんだねー」
どこのどなたか存じませんが、たぶんあなた様の子供になるのでしょう、これからよろしくお願いいたします。
「お、結構力があるな」
よかった、人間ポイ。
「おとうちゃんだってわかってるのよねー」
「父ちゃん見て、見せて!」
お、兄弟もいるのですか、それは、それは。
暗闇と柔らかいおっぱいにくっついているのを繰り返し、やっと明るい世界が見えた時、私は理解した。
異世界だ、マジかよ。
生まれ落ちた場所は、グリビアル国。
聞いたことのない国、そしてここは!
スイスか?
いやいや、山?
山だし、なんかハイジの世界だし?
見渡しても山しか見えないし…山岳地帯?だろうな・・・。
父セリア・オールバン二十二歳と母、マルーナ・オールバン十九歳の間に生まれた。
女の子、名前をチャームという。ってか?
背中を叩かれゲップです。
まだ覗いている人は兄。
「ンアーババ、ブーブーぶぶ」
お兄ちゃん遊ぼうと手を伸ばしますが…
「はいはい、チャームはおしゃべりだな、なに言ってるかわかんねえよ」
あしらわれたというかまだ言葉にさえならないのは生まれたばかりだからです、お守りをしているお方は三つ上の兄のアルべ。よろしくです。
案外記憶ははっきりとあるもので、私は、たぶん日本の埼玉県に住んでいたはずなのですが、周りは、どうも、私の記憶にある中では、丸太小屋、海外ですか?
ゲームなんかあまりしたことはなかった、ただ漫画は大好きで、小説も転生物は好きで、年を取ってからはウェブでよく読んでいた。
私が現実にこんなことになるなんて、驚いて、どうしていいか、と言っても赤ん坊の私には何もできない。
小さな手をにぎにぎ・・・無理だよね。
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