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第二十八話 行商人にあいたいです
「ヨハン、何か用事で来たんじゃないのか?」
「ああ、そうだった。行商人のギルガーが合いたいんだと」
私はそれを逃さなかった。走ってパパの服を引っ張った。
たぶん顔はにやけまくり。
早くいきたいのとうれしいのといろんなのが交錯して顔は超笑顔。
「まったく、持ってきてるといいな」
「うん、お薬どうする?」
「それは来てからでいいさ」
「薬?お前が作っているのか?」
「まさか、チャームとアルべだよ」
ヨハンという男性は目を大きく見開き、しゃがみ込みました。
びっくりしてパパの後ろに隠れました。
「わりー、驚かして、チャーム、いくつになった?」
指を四本上げました。
「そうか四つになったか、っておい、なんで薬なんか作れるんだよ!」
「こいつらはグルーナたちと話ができるんだよ、俺らだってそうだったろ?ちゃんと声を聞いてるんだ」
「話って、あいつら何にもならねえだろうが」
「まあそうだが、俺は助けられてるから」
「あらヨハン久しぶり」
「おーマルーナ元気そうだな」
「ええ、あなたそろそろお昼にしない」
「窯に火は入ったかい?」
「ええ、大丈夫そうよ」
いただきまーす!
「ムフ、おいしい」
「これもうまいな」
パンの発酵がうまくいったおかげで、バリエーションが増えた。後、だしという物がなかったから骨付きの肉は生ハムなんか作るからいい骨が出る。両親に捨てないように話し、そのまま煮たり、一度焼いたりしてから使うようになると、断然味がよくなった。干す前に、少し生肉を分けてほしいと頼んだんだ。ヤギを下ろした後はハンバーグ、焼き肉、川魚を釣ってくれば魚のフライができるようになった。ただ香辛料がほしくて…
山で取れるのもあるよ。にんにくもどき、しょうがに唐辛子はあるのにな・・・
「今年の冬は楽しみが多いわ」
「そうだな、チャームのおかげで、暇を持て余さなくてもよさそうだ」
「今年はアルべも学校に行けそうだしな」
いいなー。
「チャームはお兄ちゃんか教えてもらおうね」
「うん、お願いします」
「はー、仕方がない、頑張るか」
ママに外の果物はおいしくないのか聞いた。
香りはいいけど、そのままだと酸っぱくて食べることができないというのだ。
じゃあどうしてるの?
あのままなんだそうだ。
「もったいない、ママ、あれとって」
「どうするの?」
「ジャム!食べる!」
「ジャム?」
うん、うんとうなずいた、その前にパパとギルガ―に会いに行くと、ママを引っ張り、三つ並んだ手押し車から、薬を出したのです。
「みんな持って行かないの?」
「チッ、チッ、チ、ママ、こういうのは小出しにしないと高く売れないものなのよ」
「あら、そうなの」
「だから、半分でいいの、パパ―お兄たん―、お出かけ!」
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