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第二十九話 村の広場デス
お店は一件、ヨハンさんのお店は何でも屋さんです。
商品の仕入れは村の農産物や工芸品のほかに、あちこちを回っている行商人たちからかうのです。
その中でも、ギルガー商会の元締めギルガーさんには、うちで作ったものを高いお金で買っていただいているんです。そして今日は、お店の人たちが来て、広場のあちこちで村人たちと商談が行われているのです。
いっぱい人がいます。
「ほう、これか」
「手押し車は小回りが利くので助かります」
「輪切りにした木だから割れても替えが効くんだな、でもなんか張り付けてあるのか?」
「はい、ヤギの毛で売り物にならないところをフェルトというものに加工して貼り付けたんです」
「フェルト?」
父さんは作り方を教えています。
「よし、あかぎれの薬は数がある、次は?」
「おなかの薬、虫下し。食べ過ぎ、飲みすぎ、ウンチが柔らかくてお腹が痛い時、反対に固かったり、とにかくこれはウンチにして出しちゃうから、お薬とお水を必ず飲まないと外に出なくて苦しい思いするから、飲んで出す」
「わかった、のんでだすんだな」
私はお薬の説明です。
「これはなんだ?」
「これはまだ試作なんだけど、石みたいでしょ?」
「そうだな?」
「だから石鹸って言うの、これで頭や体を洗うのよ」
「灰で洗わないの?」
私はあちこちがかゆくなるから作ったんだと話した。
「なんだろう、この甘い匂いは」
「はちみつ、というか、カスみたいなものかな?」
蜜蝋?
それは大事なものだから使わない。
そうなのかと言われた。
とにかくちょっと来てと言って、父さんに頼んでいたものを出してもらった。
「これはヤギの油」
白い塊の匂いを嗅いで、そうだなと言っています。
「皮をはいだり、お肉をとると手にこれがついて嫌でしょ」
まあそうだなという。
水飲み場に行こうと連れてきました。
「手を出して」
両手を出したので、片手にヤギの油を塗りました。
「そんなに?とれないよー」
「そこでこれ、こうして、水にぬらして手につけるようにして洗うの」
何をしているんだとみんながのぞき込みます、人だかりができてきました。
「え、あ、ウソ!油が消えた?」
「水で流してみて?」
「うわー、なんだこれ」
両手を上げてみています。
「結構いいでしょ?」
うんうんと頷いてはまた手を洗い始めました。
「うわー、きれい」
お兄たんは、紙やじいちゃんの作ってくれたものを売り込んでいます。
「だろ?どう?高く売れそう?」
「うん、うれる、ってか絶対に売る」
私が作った花の入った紙、大きさもそろっているので結構いけてると思って持ってきた。便箋、レターセットだ。
貴族たちに売りつけてやるというので笑う声が聞こえています。
「これも見てくれよ」
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