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第三十一話 キャンディーです
「でね、今度は、くず粉、この黄色いのをポンと入れて、それと、魔法の液体を入れお湯を注ぎます、スプーンで混ぜ混ぜ、溶けて、透明になったら出来上がり、これをどうぞ、熱いので、フーフーしてください」
フーフー、やわらかいな。
ふあー、やさしい味。
「とろっとした口当たり、ピリッとするのはジンジャーかな?」
「そうです、それにはちみつです、風邪のひき始め、じゃないや、ぞくっとしたり、なんだか熱っぽなーというカミュ―ダの便りのはじめの症状に効きます」
カミュ―ダの便りというのは、寒くなると気温の差で体調を崩す、カミュ―ダという北の湖のことを言うそうで風邪のことをこっちの人がいうのです。
「はちみつ?どれが?」
目の前にあるのは私たちが見慣れた飴です。
「これです、これはこのまま口に入れてもおいしいの」
「この黒いのは?」
「さっきのブラックハニー」
「うちじゃキャンディーって呼んでるんだ、うまいんだ」
お兄たんのフォローです。
一粒口に入れました。
「んー、なにこれ?」
「おいしい」
「うまいが、なんだろ、たまに口に広がるのは」
「んー、塩かな?」
「正解!お塩、だから甘く感じるの」
効能自体はない、のどの痛みを和らげる、夏には、塩分補給になるぐらいだ。カリンを見つけたが実がなくて、今度になりそうだ。クズの方も大した効能はない、体を温め、苦い薬を飲みやすくしたりするために使える。
「こりゃ参った、ヨーグルト、くず粉にトロミ粉、ブラックハニー、それにキャンディーよし、仕入れだ」
「やったー!」
そして父さんの前には。
そろばん?
ぱちぱちとはじいていきます。
「五十三万、五千ベリーだ」
「五十三万!」
「そんなに?」
「だが、そこから頼まれものを引くと二十三万になっちまう」
「二十三!」
ヨハンさんの驚きはものすごいです。
この村で一万ベリーを使うとなると相当です。
硬貨は二種類、丸と四角。四角い銅銭一個が一ベリーです。丸いコイン一個で十ベリー。緑色が浮かんでいます。
百で四角い銀貨、一万で丸い銀貨一枚。十万ベリーで丸い重たい金貨一枚です。本物の金です。
そうですね、母さんが作る固いパン、大きさは大人のコブシ二つ分ぐらい、買うと一個五ベリーで買えちゃいます、安いんだと思います、この国が安定しているからです。
パン屋はありません、だいたいが家にあるコンロというか窯?ストーブ?みたいなもので焼くので必要ないようです。
「それでもありがたいです」
「次も楽しにみにしてるよ」
「春までにいっぱい作っておきます」
「じゃなチャーム」
「ありがと、またね!」
「セリア、お前金持ちになる気か?」
「まさか、これから子供たちにはお金がかかる、今稼いでおかないと」
「そりゃそうだが」
「もう一人できるんだ、ヨハン、買い物だ、ここに書かれているものをくれ」
「おー、そりゃめでてぇな、はいよ、まったく、お前は欲がないね」
「よく?俺は欲望もちさ、だからいろんなものに手を出してるだけさ」
そして私とお兄たんは、高くて大事なものをかばんに入れ、抱きしめています、顔はもうにやけまくりです。
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