第三十三話 焼きリンゴです

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第三十三話 焼きリンゴです

そして次は。 「わー」 「これが砂糖」 そうか、白くないんだ。茶色です。 「溶けてるー」 「ン?本当だな、キャンディーみたいになってるな」 ビニル袋なんかありません、木の箱に、紙が敷かれその中に入っているだけです、これは、このままじゃまずいぞ。 その紙をみます。 「どうした?」 「パパが作る紙と違う?」 本当だなと言います。この紙、確か…んー。 「チャームちゃん、これ、キャンディーみたいにしたらとけないんじゃない?」 アー、そうだ、母さんあんたいいこと言った。 「作ろう、キャンディー、いや、金平糖」 「こんふぇぃとー?」 とにかく、今は、掃除と、ここを住めるだけのものにするのが目的です、明後日の朝には山を登り始めるのです。  夜は、ママの作った、羊の肉のシチューだけですが、今日はごちそうでした、骨は牛と鳥も入っています、しっかり干したものでだしを取り、肉は塩漬け、ただの塩漬けじゃないよ、お酒とお塩、だからここにコショウを入れたら美味しくないわけがない。 味は格段に変わったのですから。もう、硬いお肉や、飽き飽きしたポテトオンリーのスープとは違います。 麦や豆、野菜もいろいろ入って、乾燥キノコも入り、味はサイコーです! そして! 「じゃーん」 「これは?」 「外のリンゴとかいうのか?」 「そうです、焼きリンゴ、バターとお砂糖少しと、シナモン、いただきまーす、んー美味しい」 あの酸っぱい実がねえ・・・ン!何!なんだこりゃ! 「チャーム!」 「はい!」 おいしいの大合唱でした。 明かりのない部屋、やはり、明かりがほしいです。 窓はあるけど木でふさがれています。 「まっくろくろすけ出ておいでー、怖くないもん!」 後ろで兄ちゃんになにやってんだ?と笑われました、やってみたかっただけです。  山の上の家もガラスがありません、でも明るいです。 ずりっと音をさせ動かすと半分木の板がずれた。ああこれで明るいのか? 夏でさほど気にならなかった。 縦に空いた木の間から外が見えた。外気が、いまはいいけど冬はな・・・。 ちょっと大きな窓を開けました、木の棒で固定、んー、これもなー? ベランダがここにはあります、昔大雪が降った時、ここから出入りした名残なんだそうです。  ここは父さんのおじいちゃんたちからずーっと使ってきたところなんだそうです。父さんは山で生まれました、母さんは隣の領主さまの村の出なんだそうです。 そこから空を眺めていました。 この時代、ろうそくはまだ無いようです、ただ、蜜蝋はあるので作ろうとおもえば作れるでしょう。油に芯が入ったもので、小さいですが明かりはあります。 大豆油があるんです、サラダ油です、でも明かり用ということは、またゲンコツが飛んできます。
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