第三十四話 賢者がいるようデス

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第三十四話 賢者がいるようデス

「もう一つ聞いていい?」 【いいぞ】 「トイレの水はどこに流れ出るの?」 【迷いの森のそばだな】 迷いの森? 【あそこだけはいっちゃいけないよ】 【ダメだからね】 「ここから見える?」 ここからはだめだな、この集落のずーっと端にあるんだ。楡木さんでも見えないと言っています。 「川には流してないのね」 【そんな馬鹿なことはしない、この辺の人はそれをわかってるからわざわざ作ったんだ。なん十年もかけてね】 下水処理施設があるってこと?それはすごい。 【この村には賢者がいるからね、みんなゆうことを聞くんだよ】 賢者いるんだ、それはすごいな。 【私らもその恩恵は受けているからね】 そういったのは楡木さんの下にある柊さんです。 「柊さんこんばんわ、お水や栄養分が取れるってこと?」 【そうだ、だからこの辺のは強く生きていられる】 私たちもよとかという声が一斉に上がった。 ふーん、それはむげにできないな、そうなるとやっぱり。 んー。 【どうした?】 「んー、便座がほしい」 なんだそりゃと笑われました。 トイレはどこも和式です、ちゃんとした個室です。ただ落ちたら這いあがれません。 「町はどうなのかな?」 【あんなところ住む場所じゃないよ】 どういうこと? ゴミや、糞尿は道に投げ捨ててあるから毎年病気が大流行。それでも人が多いから、仕事もあるし稼ぎにもなるが、人が住む場所じゃないというんだ。  一瞬頭の中にペストが浮かんだ、世界的に大流行したあの病。 ただ今じゃ、賢者様のおかげでゴミも出す日が決まり、掃除もするようになったからだいぶ変わったらしいけどなという、それにほっとした。 【さあさ、子供が起きてる時間じゃないよ、早くねな】 「はい、それじゃあ皆さんおやすみなさい」 結構昔の時代に来てしまったみたいだな。 でもスイスで竹が取れるのか? 勝手にスイスにしてるだけか?
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