第三十五話 ほしいのは滑車デス

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第三十五話 ほしいのは滑車デス

次の日。父さんに手を引かれ、鍛冶屋にやってきました。 「これなんだけどな」 「ン?へー、やってみるわ」 「あともう一つ、こんなのを作れるか?」 お父さんは、のこぎりと包丁を頼みに行きました、私はできて、飾られているものを見ています。 ネズミ捕りがある、やっぱりあれは怖いな。んー、やっぱり、滑車はないか。 「何かお探しですか?お嬢さん」 若い男性がやってきた。こんなものがほしいのと聞いていた。 「何に使うんだい?」 「低いところから高いところにあんまり力を使わずに上げるもの」 「え?あ。ちょっと待っててな」 父さん、父さん。 「なんだ?」 「あそこにいる女の子が、前に船乗りに売ったようなものがほしいっていうんだ」 「アチャー、チャームが何か?」 「お前さんの子かい?」 下の子です、それで何がほしいと・・・。 低いところから高いところにあんまり力を使わずに上げるもの。 「あー、滑車、それは私もほしいのですが、あるものなのでしょうか?」 二人は顔を見合わせ、あれ、滑車っていうんか?ちょっと待ってくれと言ったのです。 「チャーム、こっちに来なさい」 「父さん、ほしいものがある!」 まったく、男のならよかったのにな。 どれだといくと、カネタタキのような重そうな小さなものを指さした。 「これか?」 「うん、”ナタ”があってよかった、それなら母さんでも木を切るのに楽だよね、じいちゃんが持ってて、いつもいいなーって思ってたんだ」 ”なた?”まあこれぐらいなら持てるだろうが・・・。 「後あれもほしい、お兄たんに」 もっと小さなものだ、小刀より重いが。 「これで、カズラも切れるね」 ああそうだ、これなら細い枝は十分… 「待たせた、これなんだがな」 目の前に並べるのは大小変わった形もあるのが五個、一番大きいのにはフックが付いています。 「やったー、これこれ、井戸なんかにも使うのよね」 「あ?ああ、よく知ってるな」 「父さんこれでばあちゃんが楽になる」 「そうか、どれにする?」 「みんな持って行かないか、売れるもんじゃねえし、この大きいの一つン値段でいいや」 チャームの目が輝きます。 「ほんと、やったー、パパ、じゃないお父ちゃんお願いします」 この辺の井戸は、桶のついた紐を投げ入れているもの、それじゃあ疲れちゃう。 家にもある? あるという父に連れられ行った小さな井戸、周りをきれいにすれば使えそう。私は大きな滑車を一つ別荘に置いていったのだった。
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