第三十七話 どうしてもほしいのは竹です

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第三十七話 どうしてもほしいのは竹です

「父さーん、お願い、どうしてもほしい」 んー、父さんも知らないからな、クーパーさん高いものなんでしょうか? 「いや、この変じゃ、洗濯もの干すぐらいしか需要がないからな」 一本、やすいのだと三百から高くても千ベリーぐらいだという。 なんで値段が違うの? 太さだ、細いのは釣り竿なんかにも使える、物干しはそれより少し太けりゃいい、でもものすごい太いのは重いし、たまにしか売れないから注文をもらってからじゃないと売らないそうだ。 「父さん」 私は、お願いのポ-ズを取りました。両手を合わせ頭を下げます。 「仕方がない、どうしたい?」 長さは最高どれくらいですかと聞いたら、十メートル近かった。よっしゃー。太いのを二本、中くらいのを三本とりあえず。 「よし、それも準備して家に置いておく」 「ありがとうございます」 「それと相談なんだがな」 それを聞いたお父さん。 「チャームどうだい?」 「んーいいけどー」 「頼む」 「仕方がないなー、バンブーン太いのもう一本でどう?」 「はー、まいった、それでいいのならお願いします」 「どうぞ、こっちです、お母ちゃーん」 「これがそうです」 養蜂箱を見せてくれないかと言われたんです。 「ほー、案外簡単なんだな」 蜂は勝手に入って中で巣を作るから、ただ取り出すときに注意するのは、大きくなって中でこぼれた時、出すのが大変だから。 養蜂の仕方です。 「今はあるのかい?」 最後のがある、夜見に行くのは危険、クマが出たりするから。 「やっぱりな、明日の朝いちばんならどうだろう」 「その方がいいね」 母ちゃんに泊めてほしいって言ってる、いいんだろうな。 「うめ、なんだこれ、マルーナ、最高にうまいよ」 「ありがとう」 「大した酒もないが、いっぱいどうだ」 「悪いな」 お父さんはこの辺の人が飲むヤギのミルクで作るお酒を出しました。 「ん?」 「どうした?」 「臭くねえな」 「ああ、そうか?」 父ちゃんニヤニヤです。 くぴっとのみます。 「うめー、なんだこりゃ、これ本当にホエー酒か」 「おうよ、ヨハンの店に卸してるからな、買ってやってくれ」 「ウソだろ、値段は?」 「同じだよ」 「いや、いや、やめた方がいい、あいつはこれを混ぜて売っちまう、それなら家で扱わせてくれよ」 「残念だが駄目だ、まああいつの店に行ってみろ、びっくりするぞ」 「んー、なんか騙されたような気がするなー」 「もう一杯行くか?」 「ああ、クレ、こんなうまい酒久しぶりいや初めてだ」 お兄たんと笑いながらその様子を見ていたのでした。
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