第四十話 お医者様がいるようデス

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第四十話 お医者様がいるようデス

「ねえお兄ん?」 「なんだ?」 私の隣には兄が寝ています。 大きなベッドですが二人寝ても気になりません、中は、小麦の穂や牧草、これもまたハイジと同じです。ヤギのエサです。 「知恵の賢者ってどんな人?」 「んー、頭のいい人がまず一人だ」 そんなに何にもいるの? いるという、この村には、裁判官がその人なんだって。 「それに俺たちのグルーナの声はある程度で聞こえなくなるって聞いただろ?」 「父ちゃんに聞いた」 それがたまに、大人になっても聞こえる人がいるんだって、そんな人たちは、王様に助言ができるから、お城にいるんだって。 そしてわたしは医者という言葉を聞きました。 「お医者がいるの?」 それも王都に行けばいるんだそうだ。 「すごいね」 「そうだなー」 「お兄たんは賢者になりたくないの?」 「俺?俺は嫌だな、うるさいもん」 うるさい、それだけかよと突っ込みたくなりました。 「そうだね」 「もう寝ろ、明日も早いぞ」 「うん、お休みなさい」 「お休み」  まるで物語、大賢者、勇者、魔法使い、これからそんな人が出てくるかもな。 出てくるはおかしいか、でもこんなところじゃそんな人と会うことすらないかもな? でもドラゴンとか、ゴブリンとか?ああそういえばスライムとか見ないしな・・・? ここはフツーの私が知っている世界っぽいし・・・普通?普通か? 王子様もいるとは言うけど、会う機会なんか絶対になさそうだもんなー。 ン?でもきっかけがあれば、もしかして? まあ、それはそれでいいかー。 家にはイケメン一号二号がいるし、美人お母さんがいるから別にいいしー。  案外、運命とは数奇なもので、私はある人のせいというかおかげで、大変なことに引き込まれてしまった訳で。 まあ先の事なんてわからないですからね。 私がこんな世界にいること自体おかしいですもの。 横を向けば、イケメン二号、私はお兄ちゃんに恋しそうです。 久しぶりに過去のことを少しだけ思い出して眠りました。 今じゃ、ぐっすり眠るので、夢さえも見ていないような気がします。 過去はだんだんと薄れて行っているような気がして、でもそれも仕方がないかなって思い始めています。
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