131人が本棚に入れています
本棚に追加
第四十話 お医者様がいるようデス
「ねえお兄ん?」
「なんだ?」
私の隣には兄が寝ています。
大きなベッドですが二人寝ても気になりません、中は、小麦の穂や牧草、これもまたハイジと同じです。ヤギのエサです。
「知恵の賢者ってどんな人?」
「んー、頭のいい人がまず一人だ」
そんなに何にもいるの?
いるという、この村には、裁判官がその人なんだって。
「それに俺たちのグルーナの声はある程度で聞こえなくなるって聞いただろ?」
「父ちゃんに聞いた」
それがたまに、大人になっても聞こえる人がいるんだって、そんな人たちは、王様に助言ができるから、お城にいるんだって。
そしてわたしは医者という言葉を聞きました。
「お医者がいるの?」
それも王都に行けばいるんだそうだ。
「すごいね」
「そうだなー」
「お兄たんは賢者になりたくないの?」
「俺?俺は嫌だな、うるさいもん」
うるさい、それだけかよと突っ込みたくなりました。
「そうだね」
「もう寝ろ、明日も早いぞ」
「うん、お休みなさい」
「お休み」
まるで物語、大賢者、勇者、魔法使い、これからそんな人が出てくるかもな。
出てくるはおかしいか、でもこんなところじゃそんな人と会うことすらないかもな?
でもドラゴンとか、ゴブリンとか?ああそういえばスライムとか見ないしな・・・?
ここはフツーの私が知っている世界っぽいし・・・普通?普通か?
王子様もいるとは言うけど、会う機会なんか絶対になさそうだもんなー。
ン?でもきっかけがあれば、もしかして?
まあ、それはそれでいいかー。
家にはイケメン一号二号がいるし、美人お母さんがいるから別にいいしー。
案外、運命とは数奇なもので、私はある人のせいというかおかげで、大変なことに引き込まれてしまった訳で。
まあ先の事なんてわからないですからね。
私がこんな世界にいること自体おかしいですもの。
横を向けば、イケメン二号、私はお兄ちゃんに恋しそうです。
久しぶりに過去のことを少しだけ思い出して眠りました。
今じゃ、ぐっすり眠るので、夢さえも見ていないような気がします。
過去はだんだんと薄れて行っているような気がして、でもそれも仕方がないかなって思い始めています。
最初のコメントを投稿しよう!