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四十二話 空飛ぶ荷物デス
家の裏に準備していたものを広げ、その中央に荷物を置いておきます。
これは落としても壊れるようなものはないし、軽いし大丈夫、うちの家族のもだけじゃないから、何かあってもいけないけど、今は信じるしかない、後は鳥さんたちにかけるしかない。うん!
大事なもの、壊れるようなものは背負って降りるつもりです、だからかさばる衣類や壊れそうもないもの、壊れても修復できるようなものを準備したんです。
蔦は切れない頑丈なもの、それを母さんに聞いた編み方で、蜘蛛の巣のようにしました。
後は、この団子のようなものをくわえてくれればよいのですが。
結構いっぱいだけど、なんとか一度で持って行っていければな。
だんだん明るくなってきました。
鳥さんたちが降りてきました渡り鳥です。
ここはもみの木さんと楠さんにお任せします。
口にくわえる団子のところにはパンを置いてあります。
夏の終わりのころから、パンくずをもみの木さんのそばに置き始めました。コケが生えてかゆいからそうしてほしいと頼まれたんです。
今じゃコケもなくなりきれいになりました。冬ごもりはばっちりなんだそうです。
パンを食べました、そして咥えます、大きな鳥の間には小さな鳥たちもいます、お願い、飛んで。
クエーッ!と鳴き声が上がりました、バサバサッという音ともに、だんだんと空に昇っていきます。
何羽いるんでしょうか、五十、もっといます、二つの荷物が持ち上がり空に昇っていきます。
成功です。
「鳥さーんありがとう、よろしくねー!きおつけてねー!」
それを聞いて母さんが顔を出し、私の横に来てみ上げます。
「うわー、すごいわね」
「お母ちゃんみて、すごいよね、みんな、ありがとう!」
そして下では。
「まったく、いつ来るかもわかんねぇのに」とぶつぶつ言いながら屋根に広げました。
【すぐ来るぞ】
え?誰?
【小僧、空を見ろ】
そら?ん?
「え?ええー、父ちゃん、父ちゃん―!」
どうした!
「上!空、空みて!」
何か黒い物体が向かってきます。
急いで二階へ上がり、チャームの部屋のベランダからはしごで上に上りました。
「おーい、ここだよー!」
すごい数の鳥です。
「本当に持ってきてくれた・・・」
「スゲー、スゲー、ここだよー!」
鳥たちは、チャームが広げてくれと言った布の上にそれを落としていきました。
布にはHのような文字が色付きで張られています、いろんな端切れをつなぎ合わせたようです、こんな大きなもの、すごいなと感心していました。
「父ちゃんきて!」
蔦を一生懸命あんでいたのはこれだったようです。
「どうした」
「これチャームのだけじゃない、俺のも母ちゃんのもあるよ」
冬物?あれ?これはうちのじゃないみたいだな?
「父ちゃん、こればあちゃんのだ」
ふっ。あいつ、じいちゃんの家のまで軽くてかさばるものばかり、まったくあいつは・・・
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