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第四十三話 歯がゆい思いデス
クシュン!
「あら、カミュ―ダかしら?」
「早めに葛湯飲んで寝るよ」
「お風呂はやめておきなさいね」
「ハーイ、ほら、お前たちは向こう、いっぱい食べてね」
母ちゃんは最後の草刈です、これをもって山を下ります。
「ねえお母ちゃん」
「なに?」
「なんでみんなこの山から出て行っちゃったのかな?」
「んーなんでかな?」
「お母ちゃんは嫌じゃなかった?」
「んーそうね、若い時はそう思ったな、こんな何もないところ、いても仕方がないって、でもね、アルベが生まれてチャームが生まれて、あーよかった、ここにいてよかったと思えるの、だからそんなの考えなくなっちゃった」
私は、お母ちゃんの背中に抱き着いた。
「大好きだよ」
「うん、母ちゃんも好き」
こんなに幸せだと思ったのは何年ぶりだろう、貧しくても、いや、今は貧しくない、頑張って稼いでやる、でも私もずっとここにいたいなー、田舎最高!
今日は、お母ちゃんは家のことをしているので私だけがじいちゃんのところのお手伝いです。
「うわー、干しイモ、うま、うま」
サツマイモです、白いけど、品種が違うだけのようです。
「チャームは本当にうまそうに食うな」
「だっておいしいもん」
「この頃は柔らかいパンばかり食えてうれしいしねえ」
「でしょー、へへへ」
この間、鳥さんに頼んだのはうまく着陸したようです、植物たちが教えてくれました。
「本当に、こんなに軽くていいのかしら」
「いいの、いいの」
「まったく、それで、こんなものをどうするんだ?」
おじいさんが手にした袋の中身はきれいな石です、それも白い透明感のある石ばかりです。
「うわー、きれい、いいの?」
「いいけど、なにをするの?」
「明り取り、だって家の中真っ暗なんだもん」
「明り取り?その石でか?」
「うん、これなら十分、まだあるんだ―、下の家に行ったらおばあちゃん、教えてね」
「ああ、かまわないけど、明かりねー」
「ごちそうさま!次は何する!」
「ああ、それを丸めてくれ」
「はい!」
大人なら手伝えることもあると思いますが子供なのでできないことばかり、歯がゆいです。
二人のことは大好きだけど、この先の事を考えるよね、介護するようになればどうするのかな?
介護?あれ?
書いておかなきゃ、メモを開き、お年寄り、介護と書いておきました。
「チャーム、すまないが来ておくれ」
「はーい」
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