第二部 第一章

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第二部 第一章

第一話 お頼みもうす、デス 年が明けました、道の両側には私よりも高く雪が積まれています。 ここだな? 「頼もう!」 そこから顔を出しのは、ひげを生やした男性です。 「なんだ?お前?」 「この村一番の陶器職人がいるとお聞きした、どうか、お願いしたいことがありやってきました!」 あの子誰だか知ってるか? アー、セリアの末っ子だ。 「あーあの変わりもんか、帰ってもらえ」 「でも・・・」 「ふん、貧乏人が追い払え」 へい。 「コリン、お前行って来い、俺よりいいだろう」 するとお兄ちゃんより大きな子が出てきた。 「悪いけど、帰ってくれ、君とは取引はしないそうだ」 「やっぱりね、サイテー、この町しか知らないから外に売りにもいけないんだものねー、ダサい食器、ふん」 それは出荷用に積まれたものでした。 「おい、いいすぎ」 「あのね、こんなの作っていても売れないのわかる?食器って言うのはね、女が自慢したいものなの、同じようなものばっかり作って、どうせつぶれるわ」 「言いたいこと言ってくれるな」 「あんただって見習いでしょ。コリンさん、ふん、大人に使われるだけで、ここじゃどうにもならないわよ」 「ちょっと待て、なんで俺の名前、ああそうか、聞こえてるのか」 「聞こえなくなったんでしょ、残念ね、それじゃ」 「おい、よかったら聞かせてくれ、なにを作るんだ」 「…便器」 「は?何それ?」 「いす式、腰かけて使うトイレよ」 いす?トイレ? 「そうよ、足の悪い人が使える便器を作ってほしいの!ふん」 「ちょっと、ちょっと待って、アルベの妹」 「ベーダ!」 コリンという青年は学校帰りのお兄たんのところに来ました。 「そうか、悪かったな」 「いや、俺もオヤジが倒れなかったら継いでいたんだ、ここじゃ好きなものも作れない、それで妹が言っていたのはなんだ?」 「あー、あのな?」 ものすごいハエ、冬だから少ないけど、食いものにもつくだろ、あいつ病気になるから絶対必要だって言ってきかないんだ。 「ハエが病気を持ってくるのか?」 「ああ、そう言っていたな、ただ腹の中のもの全部だしゃいいんだとか、何とか」 じゃあ父さんが倒れたのって、もしかして・・・。 「まあそれだけじゃないと思うけどな」 アルベは手伝っているだけだと言った。 みんなが病気になって死ぬのだけは嫌だからさ、と言っていた。 何時でもいい来てみてくれ、悪いようにはしないさとアルベは笑っていた。
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