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第五話 しゃべっているのは植物デス
目が覚めた、外です。
たぶん私は何かに入れられています、横を見ると浅い木箱のようにも見えます。
おなかがすきました。ママを呼びます。
「んま、んま」
【あー、ション便だけはするなよ】
誰でしょう?声がするのはいつも下のほうや背中のほうです。
「アチャー、ぶぶ、ばるぶぶ」
声がしたので、誰ですかと尋ねますが言葉にはなりません。
【引っ張んな抜けんだろ!】
【いて、いてーよ、てめーなにしやがる、少ない毛が抜けたじゃねえかー】
け?握ったものは、どう見ても、草、草だよねー。
横を向きました。
そこにあるのは草です、雑草です。
もぞもぞと動きました、また下から声がします。
どうも私の下にいる雑草?たちが騒いでいるようです。
雑草?だよね?しゃべった?
どうも人の話を聞いていると、この国の子供たちには植物の声が聞こえるらしいのです。らしいというより、マジ聞こえてます。
うるせーと言ってもわからないようです。
「アブワー」
「動くな!」
声は兄です、フリーズです。
「そう、動いたら落ちるからな、いいこ、いいこ」
お兄ちゃんにいい子、いい子されました。
お兄ちゃんは私の手を見てこう言います。うるさいから抜いちまえって言いますが、わたしにはよくわからないので・・・。
ブチッ!【いって-】
最後の断末魔です。
ブチ【いて】、ブチ【いて】、ブチ【いて】。
手にしたものをにぎにぎ。
しーん。
「あばばぶぶ、どるんどるばーあーあー」
(静かになっちゃった、なんで、なんで?)
「死んだな」
えー、私、さ、殺人犯?
「えぃやー」
「だーめ、これはヤギのエサ、もっと抜いておけ」
えさ?えー?いいのか?
兄ちゃん私の手から草を取り上げ、抜けと命令です。
仕方がないので抜きますが、うるさいので私は泣きます。
「あーあ、泣いちゃったよ、泣くな、泣くな」
あやしてくれますが、片手は近くの草をむしって山にしている兄です。それよりお腹が減って、HELPミーです。
ンま、ンま。母さんのおっぱいに吸い付いています。
兄が何かをもって私たちの周りを歩いています。
【なんでやねん】
ん?
【あ、カーン】
はあ?
兄が歩く下から聞こえてくるようです。
【もう!】
【あかーん】
【なにすんねん】
関西弁?
【ドアホ!】
【なにさらす】
なぜ?
歩く兄の足元を観察です。
草を踏むたび関西弁?
そして。
【ギヤ―!】
その声にびくっとした。
たったったと走ってくる兄の足元からは関西弁の合唱です。
ふ、ふ、ふぎゃー。
「あら、あらどうしたの?」
「チャーム、ほら、お花だよ、きれいだろ?」
なんだか、残念です、だからおっぱい飲みます。
ムグ、ムグ。
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