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おまけの話1
東京にあこがれ上京した。
大都会、あこがれだった。
でも何にもなかった。
住むためだけに仕事をし。食べるためだけに、稼いだものを使った。
大した仕事じゃなかったけど、意地と忍耐だけでこの地位を築き上げた。
それなりの人生だったと思う。
結婚もした。
子供はできなかったけど。
なんのために東京へ来たのだろう?
借金作って、へとへとになって、病気になって。
旦那の親の介護。
体は疲れのピークを迎えていた。
コロナのせいで自粛生活、カラオケで発散もできない。
仕事も一時中断したものの、物流はストップできないというので、深夜遅くまで準備に余念がなかった。
それでもコロナにかかってしまうのは、仕方がないと思う、接客しなきゃいけないんだもの。
病院並みの支度をしたって、絶対安心じゃない。
でも下からも上からも言われる中間管理職、悩みは尽きない。
・・・でも今はもう、考えなくてもいいか?
今だから言える、男は旦那様だけじゃなかった、結構モテたのよのね、なんて、ここでも繰り返しちゃう?ダメダメ、ちゃんと見ないと、今度は男で失敗なんかできないもん。そんなのどうでもいいや。まだまだ先の話だ。
その男性たちの顔を思い出すことはないほかの人もそうだ、夫と呼ばれた人さえ顔なし。自分の顔さえ思い出せない。
顔のない人、思い出せない顔。
もう、戻ることはできないのだろうな。
今は、もどりたいともおもわない
過去は忘れてしまいたいものほど抜け落ちて、どうでもいいものばかり出てくる。
もういい、私はチャーム、この世界の女の子なんだからと言い聞かせるのだった。
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