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第三十九話 迷いの森は宝の森デス
「よーし、いいぞ」
「おろしてくれー!」
今、村の境界線上に、木を植えなおしています、隣から侵入者が着たらすぐにわかるようにです。
子供たちも一生懸命お手伝いです。
「痛くない、いたくない」
「ちょっと動かすだけだから」
【いて―よ丁寧に扱えよ】
ガラの悪い木です。
「悪い悪い、叔父さん、丁寧に、その辺に置いちゃって」
【おい、おい】
「次々、この子の方がいい子だよー」
【すみません、俺も早く移してください】
楽しそうです。
女性たちも大忙しです。
「なんだか、これを着たら、父ちゃんも王様に見えるのかね?」
「ハハハ、みんな王様になっちまう」
これはガウンです。
「ふわふわ」
「気持ちいいね」
こっちはタオルです。各家庭にはタオルはありません、日本手ぬぐいのようなものが主流でしたが作りました。
「そっちはどうだい?」
「これでいいんでしょうか?」
こちらは麻布を作っています。
機織りはありませんがそれに近いもので作り上げます。
「もうちょっとあらくてもいいよ、ハエはもう少し大きいから」
「はい」
「力抜いて―、誰もとって食いやしないよ」
「美味しくないと思いますー」
ハハハと女性たちも楽しそうです。
「ジャスター」呼ばれて顔を出しました。
「なんだ?」
「えーと、向こうむいて?」
「なんだアスターじゃん」
弟のアスターは左ほほに大きなほくろがあるんです。
ジャスターもアスターもお兄ちゃんより年上です、素直で、いい人たちです。
「俺じゃダメなのか?」
「ダメじゃないけど、忙しいだろ?」
「俺忙しいのか?」
「それ、いっぱい取るんだろ?だからだよ」
「オウ、これな、うん、そうだ、兄貴は向こうだ」
「ありがとう、アスター」
へへへ。
私は大発見をしました、迷いの森は植物の宝庫でした。
そこで私はワタの木を見つけたんです。コットンです、これで綿製品が作れます。
もちろん綿製品はあります、洋服はコットンでできています、でも高いんです。さほどいりません、ほしいのがあるので作りたいだけなのです。
取るのが大変です、かたい殻は凶器です。
そこでまたもや、鍛冶屋のおじさんに頭を下げました。
「またかよ」
「でもね、前作ってもらったトング、その先をフォークのようにしてくれればいい」
「そんなんでいいのか?」
「うん、見て、これなの」
「へーこの白いのだけ取りたいのか」
「うん、お願いします!」
「父さん、チャームには負けるなー」
「だってこの国一番の鍛冶屋だもん、ねー」
「よし、そこまで言われたらやるしかねえよな、よし、待っとけ」
「ありがとう!」
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