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「結婚したときの御祝儀って、割れないように奇数にするんでしょ?」
高校の同級生が結婚することになった。
俺はそれが嬉しくてたまらない。
だってこいつは、俺の同級生ってだけじゃなくて、幼稚園から高校までずっと一緒の幼馴染ってやつだから。
まさかデリカシーのないコイツが結婚できるようになるとは思ってなかったが、長年連れ添った俺には分かる。
コイツは本当に良い奴なんだ。
それこそデリカシーはないし、自分の話を聞いてほしがりで人の話を遮ったりもする困ったちゃんだが、それ以上に良い奴だ。
今まで何度駄目な女を引っかけたことか分からないし、何度女を駄目にしたのかも分からないが、コイツの今度の結婚相手はちゃんと安心が出来る。
俺も何度も顔を合わせたし、そいつがコイツにとって悪い奴じゃないってことも分かってる。
だから俺は、コイツが結婚することが本当に嬉しい。
「えー? でもさ、御祝儀ってどうやっても割れるくない? 3万とか入れられても1万5千円で割れるじゃん」
「3万2円とかにすれば……ああいや駄目だ、割れるわ」
「となると、3万5円だな」
「結婚式の招待状に書いておけばいいじゃん。「御祝儀の値段は奇数の値段と加えて五円いれてください」ってさ」
「仮に偶数人来たら割れちゃうじゃんか! つーかもうおせーよ! 出しちゃったっつーの!」
「めんどくせー!!」
こうして話してられるのはあと何時間だろう。
あぁ、なんだか、じわじわと実感が湧いてきてしまった気がする。
俺はコイツの一番の友達で、一番の幼馴染で、コイツの良さが他のヤツに知られることは本当に嬉しいことのはずなのに。
心のどこかで、寂しいと、思う。
「じゃあ、そん時は俺が一円足してやるよ。そうすれば割れないだろ? どうせ全員きっかり出すだろうし」
「その手があったか!」
俺の声は、震えていた。
嬉しそうに笑うコイツが、眩しくて。

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