第一話

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 そう言いながら背負っているギターケースを下ろし、私の隣に腰掛けた。 「俺の名前は、(たに) 和哉(かずや)」  和哉って呼んでいいよと私に向かってニコッと笑った。少し強面で怖い印象だったが、笑えば意外と可愛らしい人懐っこい顔をしていた。その笑顔を見ると少なくとも不審者には見えなかった。 「君の名前は?」  和哉と名乗る彼が私の名前を聞いてくる。 「……セイカ」  私は咄嗟に嘘をついた。会ったばかりの人に名前を言うのは抵抗があったのかもしれない。まぁどうせ私はもう死ぬのだから、本名でも偽名でも何だっていい。  彼は私の名前を聞いて少し驚いた顔をしていた。 「セイカ?」  そう言うとまるで信じられないというような顔をしていた。同じ名前の知り合いでもいるのだろうか? それにしても驚いているなと思いながら私は続けた。 「星に花と書いてセイカ」  なんでこうもスルスルと嘘が出てくるのだろうか。この時は自分でもびっくりするくらい自然と口が動いた。どうせ知らない人だ。本名を言ったって少しすれば私のことなんて忘れる。 「星花か……いい名前だね」
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