第四話

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 名ばかりの反省会と言っていたが、二人は今日のこの曲のここが良かったとかちゃんと反省らしい反省をしながら飲んでいた。私はそれを聞きながら、ちびちびとオレンジジュースを飲んだ。それだけのことなのにとても楽しい時間だった。 「俺は、日本一……いや、世界一のバンドになりたいわけ!」 「はいはい。もう分かったから」 「お前と一緒に宇宙一になるんだ!」 「おい、どんどん規模大きくなってんな」  慎二さんは酔っ払っているのか同じことを何回も言っていた。私は熱く夢を語っている慎二さんを見て、少し羨ましいなと思ってしまった。  私の中に夢なんてものは存在しない。だからこんなに真っ直ぐに夢を語れる慎二さんを見て、自分が凄く惨めになった。 「こいつ酔うといつもこうなるんだよ……」  いい奴だけどちょっと熱くなりすぎる所があるんだよなと和哉は苦笑いしていた。この二人は、とても信頼し合っていることが目に見えて分かった。この関係を見ているとこういうものを仲間とか友情と言うんだろうなと思った。
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