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仲間や友情なんてどれも私には無い。私に無いものを全部持っている和哉が羨ましく思いつつも、少し憎く思えてしまった。
そう思ってしまう私はやっぱり嫌な奴だ。複雑な感情を抱えたまま、私は二人を見ていた。
「こんなのに付き合わせてごめんな」
「いや、楽しいから……」
「え? 本当に? これが?」
「うん……楽しい」
そう言うと変わってるなと和哉に笑われた。
「慎二もこんな調子だし、そろそろお開きにするか!」
和哉が言ってこの会はお開きとなった。酔っている慎二さんをタクシーに押し込んで見送る。そして、私は和哉と一緒にアパートへと戻った。その頃には、結構夜も更けていた。
「星花」
私がお風呂に入った後、和哉が私の名前を呼ぶ。
「どうしたの?」
そう聞くと和哉は私を見て柔らかく笑った。
「今日はありがと」
「いや、私ほどんど何もしてないよ?」
「ううん。凄い助かった」
面と向かってありがとうと言われて、私は照れ臭くなって和哉から少し目線を外した。
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