第四話

8/9
前へ
/134ページ
次へ
 仲間や友情なんてどれも私には無い。私に無いものを全部持っている和哉が羨ましく思いつつも、少し憎く思えてしまった。  そう思ってしまう私はやっぱり嫌な奴だ。複雑な感情を抱えたまま、私は二人を見ていた。 「こんなのに付き合わせてごめんな」 「いや、楽しいから……」 「え? 本当に? これが?」 「うん……楽しい」  そう言うと変わってるなと和哉に笑われた。 「慎二もこんな調子だし、そろそろお開きにするか!」  和哉が言ってこの会はお開きとなった。酔っている慎二さんをタクシーに押し込んで見送る。そして、私は和哉と一緒にアパートへと戻った。その頃には、結構夜も更けていた。 「星花」  私がお風呂に入った後、和哉が私の名前を呼ぶ。 「どうしたの?」 そう聞くと和哉は私を見て柔らかく笑った。 「今日はありがと」 「いや、私ほどんど何もしてないよ?」 「ううん。凄い助かった」  面と向かってありがとうと言われて、私は照れ臭くなって和哉から少し目線を外した。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加