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「……和哉は誰とも付き合う気ないの?」
自分でも何でこんなこと聞いてるのだろうととても後悔した。和哉は少し考えてから口を開いた。
「うん……今はないかな」
その言葉を聞いてホッとしている自分がいた。
もちろんそれだけで私に気があるなんて思っていない。
変な期待はしないと決めている。……期待するだけ無駄だ。
でも一体、和哉は私のことどう思っているのだろう? 和哉と私はどんな関係なのだろう?
ただの同居人? でも、変わらず和哉は私を抱き締めながら眠る。私はこの事がずっと不思議だった。しかし、そんなこと本人に聞けるわけがなかった。
違う……本当は聞けないわけじゃない。
聞くのが怖いだけだ。
そんなことを考えながらご飯を作った。いつも通りの笑顔で美味しいと食べてくれる和哉を見て胸が痛くなる。そしてお風呂に入って、和哉の腕の中で眠る。
「和哉は何で私をここへ連れてきたの?」
和哉の腕に抱かれながら私はそう聞いた。
「……なんとなく」
幾度となくこの質問はしてきたけど毎回このようにはぐらかす。人はいつしか裏切るものだ。きっと和哉もいつかは私を裏切るのだ。
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