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二日目、寝不足からか頭がボーとしていた私は、誠くん、亜紀ちゃんと隠れんぼしていても、全てが夢のように感じられた。
「じゃあ、次は朱美ちゃんが鬼だね」
私は、池がある立派な庭園の松の木の前で目を塞ぐと30秒数えた。
「二十九、三十、いくよ」
大きな声を出すと、誠くんと亜紀ちゃんを探し始める。
広いお屋敷は部屋が沢山ある他、別館、蔵もあって、探すのは果てしない。先程、亜紀ちゃんが鬼の時は私と誠くんは見つけやすい、庭に面した部屋にワザと隠れた。
二人を探し始めると、ケイコさんの姿が見えた。
「ええ、どうしよう。私、知らなかったのよ。あの人と結婚して15年、まさかこんな所の人とは……ええ、でも子供三人連れて行く自信はないわよ……わかっているわよ。悪いのはわたしよ」
ケイコさんが玄関脇にある電話で誰かと話している。
携帯電話の電波がないことは昨日私も気づいた。母から待たされていた携帯電話が全く繋がらない。
それでケイコさんも家にある固定電話を使っているのだろう。
でも、会話の内容がおどろおどろしい。子供三人というのは私達のこと?
「ケイコ、誰と話してるんだ?」
宗一さんが現れ、ケイコさんが握っていた受話器を奪い取ると、自分の耳にあてた。
「瑠美さんですか?ええ、宗一です。いやあ、ケイコは辺鄙な山奥に来たことで、少しナーバスになっているんですよ。ええ、心配するようなことはありませんよ」
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