あの夏

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 翌日、僕は川の方へは行かなかった。昨日と同じところに行けば彼らに簡単に見つかるに違いない。  僕が通っている学校では乱暴な子はいなかった。父はそれを見越していたのか、田舎とは恐ろしい。 「あっ、いたいた」  僕はビクッとして振り返った。すると昨日のたけしの子分、つとむじゃない方が草陰から声をかけた。たしか、けんたと言ったっけ。僕は見つかってしまったとすぐさま逃げようとした。 「待ってよ! 僕一人だよ」  その言葉に僕の足は踏み出すのを躊躇した。警戒はしたままだが、けんたがゆっくりと歩み寄って来るのを僕はただじっと待つことにした。心なしかけんたの表情には敵意がないように見えたからだ。 「たけしくんは川の方を探してるよ。でもこんなところにいたらいずれ見つかっちゃうよ。いい隠れ家を教えてあげる。涼しいし快適だよ」  言い終わるや否や、けんたはこっちの意向も聞かずに歩み始めた。このままたけしのもとへ連れて行く気ではないかと疑ったが、なぜかけんたは信用できるような気がした。
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