君だけの甲子園

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 部室には、声にならない嗚咽が響いていた。すすり泣く声、歯を食いしばって涙するクラスメイトであり、部員。  僕は、無力だ。何も、出来なかった。  その夜、玲児に電話をかけた。とても顔を見て話せる内容で無かったから、電話にした。  会って話すべきだとは思う。でも、怖くてできなかった。  玲児は、ただ黙って僕の話を聞いた。そうか、と一言だけ呟くと、何も言わずに電話を切られた。  ただ、悲しみだけが胸に広がった。  これだけ頑張った事が、何一つ形にさせる事が出来ないなんて、こんなに辛い事は無い。
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