研修センター

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 ふと窓の外に目をやった。  坊主頭の集団が、池の橋に横一列にきれいに並んでいた。  その中に、李さんの姿もあった。  坊主頭は合図とともに一斉に池の中に飛び込んだ。  水しぶきが一斉にあがる。  小さな頃、とても楽しいこと第何位に入るような、心躍ることだった。  池に飛び込む。  あの池は少し汚そうだけれど。    それでも男たちははしゃぐことなく、池の中で姿勢を正すと、微動だにしなかった。  池の中にまっすぐな一本の線が浮かび上がっている。  李さんは、左から2番目。私の眼は広角レンズのように、李さんの姿だけを鮮明に映し出していた。  男たちが行進を開始する。池に波紋が浮かんだ。アメンボの軌跡のように、男たちは静かに池の中を進んでいく。こんなに暑いのに、冷静なのね。
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