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6.
ポールがクローリィー博士のクルマを補足したのは、間もなく街外れに出ようという地点だった。
そこからは左右が森になり、十分ほどで隣街に入る。その間は一本道なので、バイク・チームには別の迂回ルートを探し、隣街に先回りするよう指示した。
ただ万が一、森の中で女と逢う可能性もあるため、ポールは直接尾行を続けた。
再び予想もしない出来事が起こったのは、その時である。
アプリが突然消えてしまったのだ。
ポールだけでなく、全バイク十台のアプリが勝手に終了してしまい、再起動にも応じなくなったのである。
これがカーナビの役割を果たしていたため、尾行チームは現在地を見失った。周辺に土地勘を持つ者もいたが、どういう訳か何もランドマークが見当たらず、星のない夜だったせいもあって迂回ルートが見つからない。結局隣街に辿り着くまで大幅に時間をロスし、それ以上の尾行は断念せざるを得なかった。
しかしポールには、博士のクルマがはっきりと見えていた。彼はメールや電話の連絡で他のメンバーの状況を知り、とにかく見失ってはならないと、どことも知れない森の中を、どことも知れない隣街に向かってひた走った。
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