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「お見合いってなぁに?」
悩んだ末に教えたのに、ハルってばあっけらかんとそんな返事だ。
「ハル、自分で調べなさい。とにかく、美波さんが東京の実家に帰るのはそれの為だから」
私は勿論止めるつもりは無い。それは絶対なにかが違う。
美波さんの性格上、誰かに止めて貰いたいとかは無いのよ。迷惑掛けたくないから自分でなんとかしなきゃって気持ちが強い人。
よくも悪くもお姉さんなんだよね。
「うん、わかった」
そう言って別れた放課後、夜もいい感じに更けた頃に私のスマホにハルから着信。
『洸〜!?お見合い、どうしよう!?』
無言で櫂を呼ぶ。面倒だ、はいハンズフリー。
「ハル?」
『櫂〜!!美波がお見合いして結婚しちゃうよ!どうしよう!?』
ああ、と櫂が私を見た。思わず頷く、そういう事よ。
「自分で考えろ。お前がいつまでもグズグズしてるからだろうが、だいたい盆のあの墓参りから何ヶ月経ってると思っているんだ」
『だって…!』
「ごちゃごちゃ言ってないでさっさとやる事をやれ、以上」
プツンッ!画面、真っ暗。きっとハルもお先真っ暗。
「洸、お茶」
「はい」
何事もなかったように我が家は団欒を続けた。
「洸、今年もあのレンタカーにした。カローラフィールダーってやつ」
「あれね、乗りやすかったもんね。荷物もいっぱい積めたし」
とりあえず、頑張れハル。
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