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「なんでここまでするの?」
「なんでだろうな。俺にもわからないが、ほっとけないんだな」
エストレジャは苦笑い。まるでイタズラが見つかった子供のような表情。しかし、どこか生き生きとしている。
そんなエストレジャに、ジュビアは軽くため息をつく。話が纏まるまで割って入ることはなさそうだ。
「お人好しなのね」
「そう、カリカリするな。俺はやりたいようにやっただけだ。文句は言わせねえよ」
凄むエストレジャに頷くしかなくなったシエル。
「ジュビア先生も同じなの?」
「私はエスが心配なだけだよ」
「馬鹿言うな。なんとかしようって最初に言い出したのはジュビアだろうが」
「エス!」
ジュビアが睨むとエストレジャは肩をすくめた。
「とにかく、話を先に進めてくれ」
ジュビアが誤魔化すように言い、シエルもエストレジャに聞いていた。
「で? 言い伝えとその『勇者の日記』となにか関係あるの?」
エストレジャは『勇者の日記』をゆっくり開く。少し動かすだけで小さな埃が舞い、紙も千切れてしまいそうだ。
「『勇者の日記』に言い伝えが記されていた。ここだ」
エストレジャが指さしたのは、『勇者の日記』の中程のページだ。もっとも、これは『勇者の日記』のコピーの一部なので、実際はどの辺に記されていたかはわからない。
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