SPELL 8

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「なんでここまでするの?」 「なんでだろうな。俺にもわからないが、ほっとけないんだな」  エストレジャは苦笑い。まるでイタズラが見つかった子供のような表情。しかし、どこか生き生きとしている。  そんなエストレジャに、ジュビアは軽くため息をつく。話が纏まるまで割って入ることはなさそうだ。 「お人好しなのね」 「そう、カリカリするな。俺はやりたいようにやっただけだ。文句は言わせねえよ」  凄むエストレジャに頷くしかなくなったシエル。 「ジュビア先生も同じなの?」 「私はエスが心配なだけだよ」 「馬鹿言うな。なんとかしようって最初に言い出したのはジュビアだろうが」 「エス!」  ジュビアが睨むとエストレジャは肩をすくめた。 「とにかく、話を先に進めてくれ」  ジュビアが誤魔化すように言い、シエルもエストレジャに聞いていた。 「で? 言い伝えとその『勇者の日記』となにか関係あるの?」  エストレジャは『勇者の日記』をゆっくり開く。少し動かすだけで小さな埃が舞い、紙も千切れてしまいそうだ。 「『勇者の日記』に言い伝えが記されていた。ここだ」  エストレジャが指さしたのは、『勇者の日記』の中程のページだ。もっとも、これは『勇者の日記』のコピーの一部なので、実際はどの辺に記されていたかはわからない。
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