SPELL 8

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 しかし、自分の将来のことだ。人の顔色を窺いながら決めるべきことではない。  シエルは手を握り締めて、真っ直ぐに正面を見据える。エストレジャがシエルの言葉を待ち、ジュビアも聞く体勢でいた。 「そんな働き方したくない。わたしには魔法が必要なの。どうしてもっ!」 「なぜ、そこまで魔法にこだわるんだい?」  ジュビアの問いに、一瞬黙り込んだシエル。 「わたしの家はとても厳しくて。魔力を失ったなんて知れたら、もしかしたら命がないかも」 「命がない? そりゃ、ちょっと大袈裟――――」 「大袈裟じゃないわ!」  大声に驚いたエストレジャは言葉を止める。再び声をかけようとして、シエルの身体が震えていることに気づく。 「命がないって本当のことなのか?」 「そうよ」 「嘘でも大袈裟でもない。一体、君の家はどうなっているんだい?」 「ごめんなさい。それは言えない」  我がままだ。これからのことを考えてくれていたのに、どうしても必要だと魔法を求める。  もしかしたら見捨てられるかもしれないと、シエルは二人の様子を窺う。 「それならば残った道は一つしかないね。エス」  ジュビアは笑顔を向けてきた。きょとんとした顔をするシエルをエストレジャは笑った。 「心配するな。絶対に見捨てない」 「まだ死なせるわけにはいかないからね」  とても頼りになる二人。今になって初めて、恵まれていると気づいた。
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