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「うん、明日だけど…。何で?何かあったの?」
「いや、アキ様についての報告書ができあがりましたが、その前に確認したいことがございます。哲平様、いつも避妊はされてましたか?」
「は?」
「ですから、避妊はされてましたか?」
かなり焦った様子の錦戸に真剣な質問なのが伝わってきた。
「してたよ。」
「毎回?」
「当たり前だろ!」
思わず腕に抱えていたチロをきつく抱きしめてしまったようでチロは「キャン!」と言って哲平の腕から飛び跳ねて逃げていった。
しかし哲平自体はそれどころではない。言いながら携帯を握る手は手汗でびっしょりだった。まさか…。 まさか……。
錦戸は哲平の返事を聞き、実は…と言って話しはじめた。
錦戸はアキの過去のレポートをまとめているのと並行してアキの動向を確認していたらしい。しかし哲平のもとから離れた後、2-3日シンガポールにいた形跡がなかったようなのだ。
心配になり、やっと消息がつかめたと思ったら、なんとアキが産婦人科へ行くという報告をうけたそうなのだ。
哲平は心臓が止まるかというような衝撃をうけた。
息がうまくできない…。
呼吸が荒くなる…。
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