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そこから5日間哲平はプロジェクトだけに集中した。集中して事業内容等、精査できたおかげで9割方の仕事が片付いた。
あとはシンガポールに帰ってオーストラリアの支店に出張している従業員とミーティングを行い、滞りなく販売ができていればプロジェクト終了だ。
あともう少し…。
実家にある自分の部屋で椅子に座りながら目を閉じる…。するとどこからかチロがやってきて哲平の膝の上に乗ってきた。
顎を撫でてやると気持ちよさそうに目をつむって、哲平の膝の上で小さく丸まった。
アキちゃんに似てる…。
こんなこと言ったらまた人間じゃないって言って怒られるんだろうけど。
会いたい…。会って癒されたい……。
でももうそれも叶わないんだ。くっそ…。
哲平はチロを撫でながら泣きそうになるのを必死にこらえた。
しばらくチロを撫でていたが、どこからか電話が鳴り、チロを抱えながら携帯を取った。錦戸からだった。
携帯を取ると、「哲平様、明日ご帰国のご予定ですね?」と何か急いだ様子で話しかけられた。錦戸さんのこんな焦った声初めてだな。何かあったのかな?
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