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「今日はDVD観るよ。」
「あれ、今日はレッスンお休みなんだ。」
「レッスンだよ、
おうちデート実践編。」
颯太がアクション映画を取り出すと、
恋愛映画にすり替えられた。
ムードづくりが大事とは言ったものの、
これ観たかったんだぁ、と
目を輝かせる様子からして、
単純に凛子の好みに
付き合わされたのだと察した。
内容は少女漫画の実写化で
ベターな展開が繰り広げられる。
確かに凛子くらいの女の子が
好きそうな映画だな、と思った。
それに加えて、5分おきに風鈴を
鳴らさなくてはならないため、
いまいち内容が入ってこない。
凛子が消えている間に
早送りをする悪戯をしてみたが、
すぐにバレて怒られた。
「たとえきみが消えても、
僕はきみのことを一生忘れない。」
凛子は映画の主人公の低い声に合わせて、
台詞を復唱した。
「ちょっと颯太くん言ってみてよ。」
「絶対言わない。」
「もう、即答しなくてもいいじゃん。
イジワル。ケチ。おたんこなす。」
こうやって頬を膨らませ、
上目遣いしてくるところが
俗に言うあざとい系女子なのだろうか、と
なんだか騙された気分になりつつも、
内心可愛いと思ってしまった。
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