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「先輩は気付いていないでしょうけど、
私はずっと前から
先輩のこと好きでしたよ。」
「え...」
ここに来て急展開だった。
あまりにもいきなり言われたので、
固まってしまう。
そもそも告白なんて何年ぶりだろうか。
凛子に助け舟を求めるが、
口をぽかんと空けたまま、
私に救いを求めないで、という
拒否の意で首を横に振ってきた。
颯太が返答に困っていると、
この状況が耐えきれなくなった
琴音の方から話し出した。
「すぐに答えが貰えなくてもいいんです。
でもこれ以上ライバルを
増やさないで下さいね。
こう見えて焦ってますからね。」
結局颯太からは何も伝えられないまま、
おやすみなさい、と言い残して
足早に去っていってしまった。
離れていく琴音の背中を見つめながら
しばしその場に立ち尽くしていたが、
その日はもう風鈴を鳴らすことなく
ひとりっきりで帰宅した。
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