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翌日家に帰ると、
凛子からのおかえりはなかった。
ベッドの端にちょこんと体育座りをして
どこか一点を見つめている。
どちらも口を開くことはなく、
沈黙の時間が流れた。
いつもはあっという間の5分間が
やけに長く感じる。
「あの子と付き合うの。」
凛子が重たい口を開いた。
「分からない。
でも凛子ちゃんが前に占ってくれた時に
言ってただろ、運命の相手ってやつ。
それを信じてみてもいいかなって。」
「でもあの子がそうとは限らないよ。」
「それでもいいんだ。
僕のことちゃんと見ててくれて、
想いを伝えてくれたのは嬉しいし。」
「そっか、モテモテ颯太くんは
可愛い女の子選び放題だもんね。」
明らかに凛子の様子がおかしい。
普段からクールではあるが、
ここまでトゲのある言い方を
することはなかった。
「何で怒ってるの。」
「別に怒ってないよ。」
女の子の怒ってないと大丈夫は
信用しちゃいけない。
そう教えたのは凛子だ。
なのに、自分だって
明らかに怒っているじゃないか。
そう思ったら腹が立ってきた。
「そういう凛子ちゃんこそ
恋愛テクニックばっちりなんだから、
さぞかしモテるだろうね。」
「もういいよ、勝手にしなよ。」
その言葉と共にタイムアップとなった。
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