風鈴

3/28
前へ
/28ページ
次へ
「きみ、見る目が良いね。」 風鈴に見惚れていると、 甚平姿の男性に声をかけられた。 髭を生やしているせいで年上に見えるが、 おそらく歳はそう離れていない。 「その子セクシーでしょ。 おまけにツンデレ。」 セクシーだとか、ツンデレだとか、 男の発した想定外の言葉に 思わず周りを見渡すが、 男は間違いなく風鈴を指差している。   「僕はただ和音が綺麗だなって。」 男はぶわっと吹き出すと、 颯太の背中を叩いた。 「またまたぁ。恥ずかしがんなって。 男はみんな好きだろ。」 普通は風鈴に対してもそういった 目で見るものなのか。 男の言うことは附に落ちないが、 恋愛経験の浅い颯太は へぇ、と適当な相槌をするしかなかった。 「それ俺が作ったんだ。 推しメンだけど気に入ったなら、 きみにあげるよ。」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加