風鈴

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人は見かけによらない。 緻密で繊細な風鈴が このチャラ男の手によって 作られたのは驚きだ。 とはいえ、そんなことを口に出したら、 譲渡を取り下げられそうなので 心に秘めておいた。 言うならば、 自分と大して歳の離れていない人が 作った作品、という点で親近感が湧いた。 これがいかにも職人面のおじさんだったら、 印象が違っていたかもしれない。 ただ、この若さで (本来歳下に用いる言葉かもしれないが) こんなに立派なものを作っているなんて、 と羨ましく思うのと同時に、 颯太は自分との差に劣等感を感じていた。 こうして人の心を引き込む作品を 世に生み出す一人前の彼と、 殆ど親の仕送りで生きているような すねかじりの僕。 僕みたいに自立しきれない学生は 日本中にごまんと居るが、 彼みたいに一歩先ゆく同年代も 少なからず居る、ということを 忘れてはならないのだ。 集団に従うのは結構だが、 埋もれてはならない。 肩まで埋もれかけていた颯太は それではいけない、と 教えられた気がした。 受け取った風鈴は 見た目以上にずっしりと重かった。
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