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反射的に身構え、瞬きをしてみたが、
やはりその場に居る。
霊感なんて無縁だったが、
絶対音感があると霊感が強い、と
友人が言っていた気もする。
ついに眠っていた才能が
開花したのか。
「ぼ、僕は悪い人ではありません。
どうか成仏して下さい。」
幽霊の扱い方は知らないが、
何をされるかも知らない。
ひとまず身の潔白を証明し、
丁重に扱うのが賢明だと思ったのだ。
実在する相手だとしても同じだ、
挑発しないようにしないと、
どんな凶器を隠し持っているか分からない。
まぁどちらであろうと困るのだが。
「いいね、そのリアクション。
私も悪い人ではありませんよ、
ってこの状況で言われても困るか。」
あはは、と無邪気に笑った。
女性は化粧で化けると言うし、
見た目で年齢を推測するのは難しいが、
25歳くらいに見える。
頭のてっぺんにまとめられたお団子は
ふわふわと後れ毛が出ていて、
ラフな印象を受ける。
服装もTシャツにショートパンツで
部屋着スタイルだ。
そこから白い手足がすらっと伸びており、
あの男の言ってたセクシーとは
こういうことなのか、と
思わず考えてしまった。
「ねぇ、見過ぎ。」
「あ、すみません。」
つい見惚れてしまっていたことに気づき、
途端に恥ずかしくなった。
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