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風鈴を鳴らすと、
再び目の前に現れた。
「びっくりしたでしょ。
そういうこと。」
「説明雑すぎませんか。」
「颯太くん、頭良さそうだからさ。」
女性から褒められることに
慣れていないせいで、
うまく返す言葉が出てこなかった。
「あのね、その風鈴を鳴らすと
5分間だけ出てこれるの。
私は凛子。はい、質問どうぞ。」
臨機応変が苦手な颯太は、
回らない頭に浮かんだ素朴な質問を
気付いたら口に出していた。
「えっと、凛子さんはおいくつですか。」
「はぁ、女性に年齢聞くなんて
ナンセンスだよ。」
ため息つかれるのも無理はない、
と颯太自身も思った。
「最初だから答えてあげる。
私は17、それと凛子さんじゃなくて、
凛子ちゃんって呼んで。」
「え、」
本当は17歳という若さに衝撃だったが、
年齢についての迂闊なコメントは
避けるべきという学びから、
黙ってしまった。
「仕方ないから私が女の子との接し方を
叩き込んであげるよ。
だから毎晩風鈴を鳴らすこと、いいね。」
「...はい。」
颯太にも理解できたのは、
既に年下の凛子ちゃんの
尻に敷かれている、ということだった。
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