散歩

最近、散歩を始めた。

特に目的もなく、なんとなく歩く。何でこんな暑い時に、と家族には笑われた（ちょっと引かれた）が、何も考えずひたすらに歩いていると、それが私の人生の目的なんじゃないか、と本気で思うような、真剣な、少しヤバい、そう言った感覚に陥っていく。気持ちが良い。

そのテンションから戻ってきた時、ふと周りの景色を見るのも楽しい。斜め下を見て歩くのが癖になっている私にとっては、家の近くの団地の風景すらすごく新鮮なのだ。こんなに楽しいなら普段から前を向いて歩くべきだ、と毎回思うのだが、治そうと尽力する程の熱はそうそう産まれてはくれない。

近頃、田んぼに囲まれていた私の家の周りに新築の家屋がぽこぽこと立ち、以前より子供たちを見る事が増えてきた。私が通っていた学校がいつの間にかマンモス校化している、とも聞く。

そうして変わっていく環境の中を、汗をだらだら流しながら歩く私。周りから孤立したり、たまに入ってきたり。あまり普段と違いはないけれど、生まれつきの無神経さを堂々と発揮して構わないこの時間は、案外かけがえのないものであったりする。