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「1週間後に結果を見て僕の未来予知能力を信じていただけて興味をお持ちになりましたら、またこちらにいらっしゃってください。
次回は今後1年間に水樹さんの身の回りで起きる出来事を予知します。
その時は有料になります。」
水樹さんは僕の説明を理解してくれたようで、
「分かりました。
1週間後の結果を見させていただきます。」
と返事をしてくれた。
僕が水樹さんを玄関まで見送ると、水樹さんは会釈をして玄関を出ていった。
僕はテーブルに戻って席に座って水樹さんのことを思い起こしていたが、次回また水樹さんが来た時にどのように説明したらいいものか悩んでいた。
実は僕は、水樹さんの未来をすでに予知してしまっていたからだ。
僕の予知では、水樹さんは2ヶ月後に自殺することになる。
水樹さんは何故自殺するのか、今回は時間が短くて水樹さんの心の中を深く読み取ることはできなかった。
水樹さんの心の中は、どこか悲しげで霧がかかったような状態になっていて、深い闇の中をさ迷っているような感じだった。
僕は水樹さんに、
「貴方は2ヶ月後に自殺します。」
とは、さすがに言えないためどうしたものかと悩んでいた。
もし水樹さんが1週間後にまたこの占いの館に来たら、その時は心の中をもっと深く読み取って水樹さんにどのように伝えるのか決断するしかないと考えた。
僕は占いの館で、お客様に未来に起きる出来事を伝えることで、お客様の人生を狂わせてしまわないだろうか心配になった。
でも、今後どのようなお客様が来るのか分からないけれど、お客様の置かれた状況によって適切に判断するしかないと考えることにした。
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